愛狂 1/3 リボーンside 自分に向けられる事のない笑顔と想い。 それを目の当たりにする度に広がるドス黒い感情。 腹の底でくすぶる黒い感情に、火を付けたのは―――お前。 愛狂 (あいきょう) 「リボー…ン、なんで…」 涙で濡れた瞳が見上げてくる。 先程からうわ言のように繰り返される綱吉の言葉に、リボーンは返す言葉を持っていなかった。 こんな事をしても意味がないと、頭の片隅で理解していたが、湧き上がる黒い欲情を止める事は出来ずに、ただ下に組み敷く白い身体をリボーンは貫いた。 ―――きっかけは数時間前だった。 「準備はいいか?」 「いつでもOKだぜ」 ある敵対マフィアへの報復。 それをリボーンと山本の二人が任された。 相手の数はそんなに多くない上、出来るだけ穏便にかつ迅速に。がボスの命令だった。 その事を考えての人選は間違っていないとリボーンは思ったが、だがやはり、なぜ自分が山本と組まねばならないのか…と、個人的な感情が苦いものを広げた。 「早く仕事を終わらせて帰ろーぜ。アイツ、今頃心配でソワソワしてんぜ」 そう言って笑うこの男に、どうしようもない苛立ちが募る。 まるで、それが自分だけの特権だと誇示するかのように思えた。 いっその事、ぶち壊してしまえば何か変わるのだろうか…? 「…早く帰って、ツナを抱きしめてーなぁ…」 リボーンの後ろでポツリと独り言を呟いた山本の言葉は、しっかりとリボーンの耳に届いた。 [次へ#] |