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文章
三文字以内で述べよ(蛭栗)

俺のこの思いは「好きだ」なんて三文字に収まらない。

収めたくもない。


そもそもこの感情がそういうもんなのかも分かりゃしねぇ。この三文字にぴったり当てはまる感情なのか。

ただ、あの糞デブが笑ったり、泣いたり、怒ったり、食ったりしてる姿を見るってのはなかなか面白い。

予想に反して。




今日もいわゆる「クタクタ」になるまでみっちり練習をこなし、なんとか体力の残っている奴に引きずられながら部室を去る奴らをちらりと視界の隅に入れながらパソコンをいじる。

制服さえまともに着れないほど疲れきった「アイシールド21」も妙な笑みを浮かべた糞マネに連れられて帰って行った。
疲れた姿を見て笑顔になるのは、どうせ「あのセナがこんなになってまで部活に励むなんて…大きくなったね」とかなんとか思ってるんだろう。


そういえば似たような笑みをこの静まり返った部室で浮かべている奴がもう一人。

ちらちら視界に入るのはせっせと帰りの支度をしながらも何故か顔がゆるんでやがる糞デブ。

「やっぱりさぁ…」

おもむろに呟いたやつに、視線をパソコンの画面に移して言葉の続きを待つ。




「…」
「…」
「…」
「…」




「早く言え苛々する」
「わぁぁぁあああ」

つい銃を向けると慌てた様子で「言う!言うよ!」と繰り返した。

続きを促すように銃を置いて栗田を見ればまたあのゆるい顔をしていた。

「あのね、こうして1日クタクタになってさ、もう辛い、嫌だって思う練習をさ」

「もっとやりたい、続けたい、強くなりたい、勝ちたいって」

「本当に楽しいんだ」




膨らませていた、ガムがパチンとはじけた。


「で」
「だから…蛭魔にありがとうって感謝しなくちゃ」


だからこれ、僕オススメのシュークリームなんだけどね、ってああ!つ、潰れてる!しかも誰かに二、三個つまみ食いされてる!って食べたの僕だ!ごめんね蛭魔つい!


シュークリームを前に騒ぎ出した糞デブ。テメーの選ぶ奴は糞甘いから耐えらんねえっつってんだろ、とは思ったが口には出なかった。


やっぱりこの感情は三文字では表現しがたい。


じわじわと喉元に這い上がるこの感情を飲み下すため、好きでもないシュークリームを手にとった。







〇〇〇〇〇

蛭栗…難しい…!
とりあえず栗田はさり気なく蛭魔のキュンポイントをついてくると思うんです。とりあえず蛭魔と栗田はお互い思い合ってる。お互いの思いは同質ではないけれど。

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