感謝のきもち
一緒にいるだけで(7)
トイレに駆け込んで、うー…だの、あー…だの、つくしは1人唸っていた。まるで遊ばれているようで、負けてばかり。リクエストに答えようとしているのに、これでは最後まで庶民派デートなるものが出来るかもはっきり言って不安だ。
一緒にいるだけで
「はー…、っよし!」
とにかく、庶民派デートを楽しんでもらうのだからお茶だけですませるわけにはいくまい。ちゃんと睡眠時間を削ってデートプランを考えたのだから、せめてもう少し。
一緒に楽しみたい。
そう思えば、つくしは気合いを入れ直し再び席へと戻って行った。
「おかえり」
「おう」
どうも可愛らしい返事が出来ないのにも関わらず、類は相変わらずにこにこ。デザートは半分溶けきっていたが取り敢えず腰を下ろせば。
「落ち着いた?」
確実に揶揄われている。しかし余裕のないつくしには答えも『も、もとから落ち着いてました』とつっけんどんなもの。ただ、悔しいだけだ。こっちばかりがドキドキさせられっぱなしで、類は余裕。
やっぱり悔しい。
取り敢えず半分以上溶けきっているデザートを口にしては完食。今度こそ、庶民派デートの仕切り直し。
「あのっ、ね」
「ん?」
「次、なんだけど」
続く
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!