感謝のきもち 一緒にいるだけで(3) 緊張感漂う(つくしだけかもしれないが)、庶民派デートの始まり、始まり。 「まず、お昼食べよう」 「うん、分かった」 「…デート、で行くなら…ってお店も、見つけてきたし」 頭の中で立てたデートプランを口に、2人は喫茶店を後にした。そこで不意、立ち止まる類。つくしは軽く背中に顔をぶつけ何事かと見やれば… 差し出された左手。 一瞬、思考が止まるかと思った。それくらいビックリして、意味を理解していながらも右手を出すに出せないでいる。 「はい」 「え、っと…」 「あ。腕組む方がいい?」 「いやっ、その…」 「恥ずかしい?」 「そそそ、そりゃあもう!」 全てに対して、類からは緊張感等微塵も見られず明らかに自分だけが動揺しているようでつくしは一端深呼吸。 きょとんとした表情でつくしの様子を見ているも出そうもない答え、きっと司とは腕を組んだりもしていないのだろう。それならば、と珍しく半ば強引に手を取った。 目を見開いたつくしに笑みを向けるだけ。 「早く行こう?」 「…う、ん」 「お腹空いたし」 「…う、ん」 「ね、牧野」 「ん?」 「手、嫌じゃない?」 ずるい、と思えば熱が顔に集まってくる。類の性格が相変わらず読めない。半ば強引にきたかと思えば、わざわざ今更な問いを投げ掛けてくる。嫌でないから振り払わないのを類は知っているだろうに。 ああもう、となりながらも実際つくしは頷くだけで手一杯だった。 続く [戻る] |