感謝のきもち 一緒にいるだけで(2) デートが楽しみで眠れなかった、なんて言ったらつくしは笑うだろうか。 類は車を走らせ、待ち合わせのカフェへと向かっていた。服装はいつもと変わらずだが気分は明らかに良い。天気も上々、透き通った青空に雲がふわふわ、デート日和とはこのことらしい。 時間を確認すると5分前。 店に入るなり、いつもの席にはいつもと違うつくしの姿が目に入った。緩いウェーブから服装から、デートを意識してる様子が伺えて口元が緩むのが分かる。 「まーきの」 「…よっ」 「うん、お待たせ」 相変わらずの挨拶が、服装とマッチしていないからだろうか、可笑しくなる。 向かい側に腰掛けて、一言。時間的に待たせたわけではないのに柔らかい言葉がつくしには何とも恥ずかしく心地良い。 珈琲を頼んで、2人何とも言えない緊張感が流れる。 (デートって、こんなだっけ?) (緊張して死にそうだよ〜っ) 「えっ、と」 「可愛いじゃん、今日」 「…デート、ですから?」 「そっか」 どうもしっくり来ないのは、2人とも分かっていた。『デート』の三文字だ。 今日のプランを頭でリピートしながら、それを伝えようとしたはずが逆に誉め言葉で遮られてしまった。可愛げのない返答にも関わらず、嬉しそうに笑う類の表情に心臓がバクバク五月蝿い。 デートはこれからなのに。 続く [戻る] |