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妖しい男




やー

いやーー

嫌ーーー


あんな変態の隣なんて絶対嫌だあぁあぁーーーー!!!!




私は無我夢中で校舎内を走り回り、気がついたら屋上に来ていた…‥






『はぁはぁ…ゲボはぁゲホゴホ!…






全力で走りすぎた…

の、喉が乾いて息が出来ない!




……………って






『あぁあぁーーーー!!
授業サボっちゃったよ!!!!』






ヤバいよヤバいよ!
新学期始まって早々…


やっちまったよおぉーー!!あの赤毛め!!!!






『ど、どうしよ…』






今まで授業なんてサボったことなんてないのに…


うわーん!
不良の仲間入りしちゃったよ!!!!




前代未聞の一大事に戸惑い、座り込んでいると…






「…っあ…………んん!」

『…………』






そ、ら耳?






「っああん!雅治もっときて!!」






じゃねぇ!!


嘘!?マジで!!?
だってまだ朝ですよ?


まだ中学生ですよぉーーーー!!!!




で、出よう…
直ぐに屋上から出よう






「ん?
なんじゃ、もうヘバったんか」

「も…む、りぃ」

「……仕方ないのう」






そして、相手の男子が言ったあと女子の声がさっきより一段と甲高く大きくなった…


ハハハ
ラストスパートに突入しちゃったよ




駄目だ!
バレる前に本当に早く出なきゃ!!




私が走り出した瞬間…






『っあ!』






――バタン!!―






思い切っし転けた…






「!?」

「キャッ!何!?」






しかもバレた。






コレは…

アレだ…




猫のモノマネするしかない






『み、みゃあ〜』

「ん、猫じゃから気にせんでええ」

「本当に…?」

「あぁ…
んじゃ、続きいくぜよ」

「え…?んああ!」






一先ず乗り切った…


でも今のでかなり警戒になったから、この様子じゃドア開けただけでバレるかも…




そんなことを思いながら、キョロキョロと周りを見渡すと…






『(あ!)』






屋上の更に上に登れるハシゴを見つけたので、一先ずそこに登り私は2人が出て行くまで待つことにした…。






「っああ!イくーー!!」

『(嫌!やめてーー!!(泣))』





さっきも言ったけど、アンタら中学生でしょ!?

何でこんな性行為を学ぶべき場所でヤッてるんですかーーーー!!!!




聞くまいと思いながら両手で自分の耳を塞ぐが聞こえてくる喘ぎ声…
頼みますから本当にやめて下さい!!(泣)






「…ん
はぁ…気持ちよかった」

『(お、終わったか…)』

「ねぇ、雅治…もう1回、しよ?」

『(はいぃいぃーー?!!)』






ちょ、お前ら本当にいい加減にしてよ!!


満足したでしょ?!
もう良いでしょ?!




私を解放してよおぉぉーー!!!!






「たく…仕方ないのう」

『(げえぇーー!!?)』

「けど、今日はもう終わりじゃ
また、今度な」

「…………うん」






…………良かった。


本当に良かった…




安心しすぎて、腰抜けちゃったよ…




先ほどまで行為を交わしていた男女は、少し話をして屋上から去っていった…






『もう…良いよね?』






“ふぅ”と1つ溜め息をし…
腰を上げ、恐る恐るハシゴを下っていると…






「いちご」






ん?

いち、ご?






「随分色気の無い下着つけとるのう?」

『(……げえぇーー!!)』






コイツは確か…


えーっと…




ニモだ!!(違っ)




っていちご?下着?




…………………






「中3でコレは無理があるんじゃなか?」






見 ら れ て る 。






ギャアァアァーーーー!!!!


み、み…みみみみみみみ』

「見た」

『……………』






もう嫌だあぁあぁーーーー!!
お嫁さんにいけない!!!!




ハシゴの上から急いで飛び降り、スカートを押さえながらキッ!とニモを睨みつけると、私の気持ちとは裏腹にニモはニヤニヤとした顔で私を見つめていた…。






『な、何よ…』

「のう櫻井さん?
男嫌いって本当か?」

『っ!
だ、だったら何?』

「俺が男嫌い治してあげても良かよ?」

『は?』






ニモの言ってる事がイマイチ理解出来ず、首を傾げていると、ニモは徐々に私に近づいてき…

何か嫌な予感を感じた私はニモが近づくにつれ後退した…





『!?』






しかし、下がっているうちに後ろにある壁に背中にあたり、ニモと壁に挟まれているという非常に危険な構図になってしまった…






『な、何するつもりなのよ!』

「何って…“ナニ”じゃけど?」

『(はいぃいぃーー!!?)』






ナニって…

ナニって!!




ナニーーーー!!?






『それって…
もしか、して…‥』

「もちろんセック『皆まで言うなあぁーーーー!!!!』

「我が儘じゃのう…」

『うっさい!
つか、あんたさっきまでシてたじゃない!!』






一回だけじゃ足りないってか?!


絶対するもんですかーーーー!!!!






「可笑しいのう…?」

『な、なにがよ…!』

「俺は一言も“今までシてた”なんて言ってないはずなんじゃけど?」

『!?』

「本当に…
なんで知ってるのかのう?」

『…………』






腹立つ…


腹立つ…


腹立つ!!




絶対知ってるよ!
だって顔にやけてるもん!!






「なんでかの、櫻井さん…?」

『……ひゃ!』






私が睨めつけているすきに、ニモは私の首筋をツツーと細い指先でなぞり…


制服のボタンを取りにかかった……






『ちょ!やめて!!』






手を高く上げ、ニモを叩こうとしたら“パシッ”という音を立てて、先に手首を捕らえられてしまった…


私も負けじと、もう片方の手でもう一度叩こうとするが、これもまたさっきと同じように掴まれてしまった…

さらに捕らえられた両腕は、私の頭上にニモの片手1つで押さえつけられてしまった…




絶 体 絶 命




今の私にはこの言葉がぴったりだろう…






『ちょっ!
嫌!早く離してよ!!』

「まぁまぁ…
そんな慌てなさんな…


じゃないと…」






――プチ―






「ほらみんしゃい
櫻井さんが暴れるからボタンが外れてしまったじゃろ?」






にやりと口元だけ笑うニモ…


その瞬間、私の背中にはゾゾッと悪寒のようなものが流れた…






怖い…






『嫌だ!嫌!!離してよ!!』






――プチ―






「また暴れるから…
ボタン、取れてしもうたのう?」






怖い…






『嫌…』






怖い…

怖い…


怖い……






――プチプチ―






オトコノヒトガ…


コ ノ ヒ ト ガ コ ワ イ






「!?」






自分の瞳から流れ落ちる涙…


ポロポロと、とめどなく流れ零れる…






『……っ…ひく…!』

「………………」






犯される…


そう思った瞬間、私の両腕を押さえつけていたニモの手はそっと離れていき…

外されたボタンを再度付け直された…






『え…?』

「…………なんじゃ」

『シ、シないの?』

「シてほしかったんか?」

『いや、そういう訳じゃないけど…』

「………………」

『………………』






沈黙ー
何なんだコイツ?!




屋上にはプチプチと外されたボタンを留めていく音と、外で体育をやっているのか生徒たちの声しか聞こえない…






「ほれ、全部とめたき」

『あ、うん…
ありが、とう…‥』






あ、お礼言わなければ良かった

流れに騙されたけどどう考えても悪いのニモだよね






「それじゃあな櫻井さん」

「うぇ?!」






気づけばニモはすでにドアの前で取っ手に手を掛けていた…




ニモ帰るの?!
つか何をしたかったんだよコイツ!!






頭の上にハテナマークを散らし、考え込みながら再びニモの顔を見ると、口端が微妙に上がっていくようにみえた。






「櫻井さん?」

『はい?』

「もう少し色っぽい下着付けた方がよかよ?」

『(`□´)!?』

「あと、胸も小さすぎじゃ…

その胸じゃパイズリは無理そうじゃし、そんなAかBか分からん胸のサイズじゃ誰も立たないぜよ?」

『這(//□//)!!?』

「クク…またのう?」






そう一言と妖艶な笑みを残し、ニモは屋上から立ち去っていった…






『………何だったんだろう』






頭はまだ混乱していたが、授業の終わりを知らせるチャイム音で現実に戻された…。


そして私もその場から立ち去った…‥。




とりあえず学んだことは…


ニモにはもう関わらない。
じゃないと私の処女が奪われる











妖しい男
(本当に…いろんな意味で…‥)







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