一日目
『つ、着いた…!』
私の目の前に広がるのは新緑が広がる綺麗な森、整備されたテニスコートとグラウンド。
そして…
『うわぉ…』
今にも何か出てきそうな…
建っているのもやっとのような…
木製でちょっと古びている…
あー回りくどい!
正直に言いますかなりボロいホテルでした。
『凄い…』
「本当に相変わらずすげぇよな、このホテル」
「俺最初来たときイジメかと思ったぐらいッスからねー…」
「だけどコートの設備は良いんじゃよな、値段もお手軽価格じゃし」
確かにニモの言う通り、お金はかなり安い。
いくらご飯付きじゃないとは言え税込み1050円は安いなぁって思ってたし、ホテルにもあまり期待していなかったんだけど、まさか此処まで酷いとは…
「それじゃあ、みんな各部屋に荷物置いて20分後にあそこのコートに集合ね
遅刻したら夕食抜きだから(ニコッ)」
「「「「はい!」」」」
「それじゃあ和泉ちゃんは俺と一緒に行こうか
和泉ちゃんは此処初めてだから迷っちゃうかも知れないしね?」
『は、はい!よろしくお願いします!!』
幸村部長と行動出来るなんて…!
やった!!嬉しいなぁ…
荷物を持ち、私を待ってくれている幸村部長の所に急いで行く。
しかし、私のバッグは何者かにとられ、私自身も後ろに引っ張られ抱き締められた。
「なんだよ、意外に軽いじゃん
女子ならもっと重いと思ってたんだけどよ」
「ブンちゃんは余分な物を持って来すぎなんじゃよ」
「和泉せーんぱい!
夜、部屋に遊びに行きますね!!」
まぁ、ある程度は予想してたけどさ…
やっぱり2人っきりにしてくれるわけ無いよねー
神様の意地悪…
***
「はい、ここだよ」
『あ、ありがとうございます!』
中は予想してた通りあまり綺麗ではなかったけど、一人で泊まるには申し分ない広さだった。
一応、女子である私のため一人部屋を支配してくれたらしいんだけど…
「それじゃあ、時間になったら迎えにいくね」
『は、はい!つくづくすみません!!』
がちゃりとドアが閉まる。
周りをよくよく見渡すと、昔のヨーロッパ風の絵があったり、全身が写るような大きな鏡があった。
『…………』
普通に恐いんですけど!!(泣)
古い木造だから歩くとギシギシ音が鳴るし…
「て、テレビでも見ようかな!」
この暗い空気が消えるかもしれないし!
お、お笑い番組とかやってないかな〜?
――ピッ―
(テレビを付けた音)
「っあ!イく!!」
――ブチッ―
(テレビを消した音)
『…………』
な、何ですか今の…?
一瞬見えた裸の女性と裸の男性…
何でAVが流れるの?!
ここ普通のホテル、だよね…?
「言い忘れてたが」
『ぎゃあ!』
いきなり聞こえた声。
恐る恐る振り返ると、そこには柳さんが居た。
び、びっくりした…
幽霊が出たのかと思っちゃったよ。
「昔此処はラブホテルだったためテレビはAVしか流れないからな」
『…………え゙』
そう一言私に告げると、柳さんは直ぐに帰ってしまった。
部屋に一人で話す相手もいない…
テレビもAVしか流れないから見れない…
はっきり言って恐いのはあまり好きではない…
初日から前途多難なんですけど…
一日目
(ど、どうしよう…)
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