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理由




『…………』

「……っと!これでよし!!」

『よしじゃないから、全然良くないから』

「そう言えば赤也の言ってた女子もコイツだったんだな」

「そうッスよー!」

「どこで知り合ったんじゃ?」

「俺達委員会同じなんスよ!
先輩方は?」

「俺らは同じクラス」

『華麗に無視しやがりますね』






あれからニモに担がれ不本意にもテニス部の部室に持ってこられた私は、椅子に座らされ手足を手錠にかけられ身動きがとれなくなった。


パッと見レイプだよ、これ。






『もー嫌ーー!!はーなーしーてー!』

「五月蝿い犬じゃの…」

『犬じゃないっ!』

「あーうるせぇ!!
あんまり五月蝿くすると…」






――プチ…―






「制服脱がすぞ…?」

『も、もう脱がしてるじゃん!!』

「はい、五月蝿くしたので第二ボタンもー」

『!?


……………』

「黙ったからもう一段」

『な、なんでよー?!!』

「あ、もう一段ッスね!!」

『!?(`□´;)』






やっぱりレイプじゃんこれ!!(泣)
と言うか喋っても黙ってもボタン外されるってどういうことですか!?
私に外されない選択肢無いじゃないっすか!!






『っ!
いーーやーー!!!!』

「五月蠅いわ!!
お前達一体何をやって、お…」






外まで響いていた和泉の声に反応した見た目親父のピチピチ中学生真田弦一郎。

叫び部室の中で真田が見たものは…






『…!?』






椅子に手足を手錠で身動きがとれない
ボタンまで取れた制服
ゆえに大きい胸がオープン
半泣きの少女
+真田に見られ恥ずかしそうに顔を赤らめる
真田は童貞(ぇ)






「○※#♀*∴♂◎◆∩☆¥!!?」






真田キャリーオーバーにより倒れ込む。






『ひっ?!』

「和泉…
おま、いきなり真田を悩殺してどうすんだよ」

『え?!私のせいですか!!?』

「当たり前じゃ…
お詫びに真田のアソコを介護してやんしゃい、ピンピンじゃし」

「うわぁ…マジですね
くそう!和泉先輩で立って良いのは俺だけなのに!!
いっそのこと再起不能にしちゃいましょうよ、えいえい!」(真田のピーを蹴飛ばす)

『ちょ!流石にそれは可哀想だよ!!』

「んじゃ、お前介護してやれよ」

『う…』






知らないオッサン中学生の下のお世話 or 知らないオッサン中学生の急所を蹴られる姿を見る。


人生で一番最悪な選択肢かも知れない。






――ガチャッ―






「一体何事ですか…って切原君!!今すぐやめなさい!!!!」

「あ、柳生先輩」

「あー…五月蝿い奴が来よったのう」

「五月蝿いとはなんで…って仁王君と丸井君も何しているんですか!!?」






部室に入ってきた眼鏡の少年は、赤也君に一括いれたときは顔が真っ青だったけど、私を見た瞬間顔を今度は赤くしていき、紫のような顔色になっていった。






『(本当に紫になるんだ…
漫画の世界だけだと思ってたよ)』

「たく…お前達は」

「なんじゃ参謀も居ったんか」






ニモに参謀と呼ばれた糸目の人は私達の方に近付いてき、私の足に付いている手錠を外してくれた。






「柳!なにすんだよ!!」

「ちょっと待て…………よし」

『…………』






外してくれた…と思いきや、私の足を片足ずつ離し、その足を椅子のパイプに紐で縛り付けた。
つまり、足がパカーでみんなにオープン状態






『…………』

「この方がエロさがますだろう?」

「おお!流石柳!!」

「考え方が一味違いますね!!」






本当に考え方が違いますね。
寧ろそんなこと考えないでくださいよ






「柳君まで!君たち止めたまえ!!」

「なんだよー別に良いじゃん
本当に柳生は堅いよなー」

「マネージャーの歓迎会の一つと思えばいいんじゃよ」

「あ、マネージャーの方でしたか…
初めまして私は柳生比呂士と言いま…じゃなくて!良いわけないですよ!!
すみません、今離します…」

『あ、ありがとうございます…』






スルスルと紐外し、手錠を外してくれた紳士な人にお礼を言い、急いで私はボタンをとめた。


ボタンをとめる指が…震える






「お前がこいつらが言ってたマネージャーか
これからよろしくな、俺の名前は柳蓮二だ」

『……やりません』

「「「「は?」」」」

『私、は、マネージャーをやりません…!』

「なんでだよ?何か嫌な理由があんのかよ?」

「丸井君、あると言えば100%あなた達の言動ですよ」






紳士さん、確かにあなたの言う通りそれも理由の一つです。
たけど…私にはもっと他にある


決定的理由が…






『男…男性が苦手だから』

「そう言えば、なんで苦手なんじゃ?」

「仁王君、だからあなた達の言動が原因ですって」






紳士さん、確かにあなたの言う通りそれも原因の一つです。






『昔、犯されそうになったの…』

「「「「…………え」」」」

『じ、地元にいたころ…』






私には仲が良い幼なじみが二人いる。
因みに両方とも男のでかなりモテる…

その二人と仲が良い私に嫉妬したクラスの一部の女子が知り合いの男に頼んだのだ、アイツを犯して…って。
自分たちで私を虐めるような事をすれば幼なじみ達に嫌われると思ったから


私の貞操は助けてくれた幼なじみによって無事逃れたけど…






『こわ、いの…』






両腕で自分をギュッと抱き締める。
体は震えて止まらない。


またあんな事が起こるんじゃないかって…
もう、助けてくれる幼なじみも居ないからなおさら…






「おま、そんなの男じゃなくてその女が悪……いでででで!!!!」

「本当に女心を分かってないねブン太は…」

『…………あ』






ガム男の腕を抓りながら微笑む男の人。(恐いって)
その人は紛れもなく、この前廊下で助けてくれた王子様だった。






「小さい頃にそんな恐い思いをして、この馬鹿達にこんな事されて…恐かったよね?ごめんね」

『………っ!』






涙腺が緩む。
涙が、出そうになる。

王子様の、その優しい言葉に






「だけどアイツ等もわざとじゃないんだ、ただ君で遊んでただけなんだよ(ん?)
許してくれないかな?」

『……あ、はい』

「ありがとう(ニコッ)」






さっきまでの苦しみ、悲しみ、もやもやが王子様の笑顔を見た瞬間一気に吹っ飛んでいった。
そして、新たに現れた心臓の高鳴る拍動。






「あと、もう一つお願いがあるんだけど…
マネージャー、やってくれないかな?」

『え…でも』

「大丈夫、俺が居るから」

『………っ!!』






なんだろうこれ…
世界が薔薇色?

胸がキュッとなって息がしづらい…






「ね?」

『は、い…』

「ちょっと待って下さいよ!!」

「……ごめん、ちょっと待っててね」

『はい…』






そして王子様は赤也君達の方へ笑顔で向かって行った。


私はと言うと、顔の熱をとることに必死でそれからずっと何も考えられなかった。










理由
(……ってことは私マネージャー決定?)






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あきゅろす。
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