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狐の嫁入り




あれから私は律儀にも委員会に出席した。
まぁ、サボるなんて気の弱い私が出来るわけないんだけどね。






「それでは同じマークの人とペアになって下さい」

「……☆マークかぁ」






委員長に言われて、ペアになるくじを引いたところ、私のくじは☆のマークが記されていた。

そして周りを見渡し、ペアの人を探していると…






「すみませんー」






と男性の声らしき声。






『はい?』






顔を見上げ、話し掛けてきた人の顔を見る。


その、話し掛けてきた人物とは…






「アンタのマーク何スか?」

『あ、☆です…』

「それじゃあアンタが俺のペアだな
俺も☆なんで」






イケメン。


マジですか…
神様は私に恨みがあるんですかね?
ショック通り越してげんなりですよ神様。






『あ…そ、うですか…‥』






と曖昧に返事を返し、ペア同士隣の席に座り今後の予定を委員長らしき人物から聞いた。
とりあえず、今日の仕事は資料の整理。
私達はいらない資料を捨てるだけという意外に簡単な仕事だった。




話が終わるなり、いらない資料を二人で運び出す。
なるべくこの男子と関わりを持ちたくない私はとにかくテキパキと、素早く仕事をこなす。






「なーアンタ、クラスと名前何つーの?」






しかし、私の思いとは逆に話しかけてくる男子生徒。
無視するわけにもいかず、一応返事を返すことにした。


ああ…なんて偉いのでしょう(自分で?)






『私…?
私は3年B組の…――』

「先輩?!」






私がクラスを言うとかなり驚いた顔で返事を返す男子生徒。


って、え!この男(ヒト)後輩ッスか!?

見えなー…
やっぱり男子は成長が早いね。




でもこの男子生徒の驚きよう…
完璧私を同級生か後輩と見ていたな(怒)






『名前は櫻井和泉…

……貴方は?』

「俺は2年D組の切原赤也ッス!」

『そっか…
これからよろしくね切原君』






やっぱり後輩かぁ。


でもこの子、結構元気で裏表無さそうで良さそうかも。


素直な子は男女関係なく好きだし…
だけど顔がイケメンなのがなぁ…






「…………」

『どうしたの?』






急に黙り込む切原君。


だけど切原君の目線は私の顔で…
しかも心なしか輝いて見える






「……そ、そうだ!
せっかくペアになったんですから苗字呼び止めません?
俺の事は気軽に赤也って呼んで下さい!!」

『……え』






マジ、ですか?






『……赤也、君?』






めったに呼ばない男の人の下の名…。
私は思わず緊張してしまい、途切れ途切れと名前を呼んだ。
だけど、下の名前で呼べたと言うことに自分にガッツポーズをしたいよ






「君も無し!」






マジッスかー


いきなり呼び捨てってかなりキツいんですけど!!(泣)


だけど、赤也君は優しそうだし…
変態でも無さそうだし…(ここ重要)
千雨にも男嫌い直せ!って言われてるし…


大丈夫…かな?







『…………赤也?』

「はいッス!
これからよろしくお願いします和泉先輩!!」






下の名前で呼んだ途端、ぱあぁと明るくなる赤也を見て私も嬉しくなり、ふと笑みが零れる。






『うん(ニコッ)』

「……あ!えーっと…
それじゃあ、仕事も終わりましたしカバン取りに行きましょ?」

『そうだね!』






うん!
やっぱり赤也はいい子だ!!
赤也みたいな子がペアならこれからも委員会頑張れるかも!


気分上々で図書室までの道のりを2人で歩く。
すると突然先ほどまでの天気とは想像出来ないほどの雨が降り出した。






「うわぁ!」

『わ!』






凄っ!
急にこんな雨が降るなんて…!!






「和泉先輩!
彼処の木に行きましょう!!」

『う、うん!』






そして私は赤也の声に引かれるように葉っぱが沢山付いた木の下に移動した。
本当は木の方が雷に当たりやすくて危ないんだけど、周りに建物もないし仕方ないよね…






『うひゃー…
凄いことになっちゃったね…』

「本当ッスね…
だけど微妙に晴れているッスからただの通り雨ッスよ。」

『うん…』






確かに雲の隙間から太陽の光が差し込んでる。


確か通り雨って狐の嫁入りとも言うんだっけ?
なら今はメス狐がオス狐と結婚しようとしているのかなー?なんて私はぼんやり考えていた。



隣で赤也が苦悶していることにも気づかずに…






「……先輩」

『ん?どうしたの赤也?』






急に不安気に私を見つめてくる赤也を見て、雨が恐いのかなー?なんて浅はかな思いで笑いかける。




すると…






「和泉先輩!!」

『ん?……ってギャア!(//□//)』

「可愛いすぎるッスよ和泉先輩!!」






いきなり思いっきり抱き締められた。

って、え!?な、何?!






『い、痛…く、苦し……
あ、かや…離して』






恥ずかしさよりも苦しさが上回る。


だって、顔は赤也の胸で息がしずらいし、抱き締めている赤也の腕は首だし…


私死にますよ!!(泣)






「嫌ッス!」

『ええ!?なんで?!』

「だって和泉先輩可愛いすぎるんスもん!!
俺の下半身ヤバいんですけど!

『え……(チラッ)


ギャアァアァーー!!
離してーー!!!!(//□//)』






通りでさっきからお腹に何か当たってると思ったよ!(泣)
原因はそれかい!!


と言うか赤也も変態かーい!!(号泣)






「嫌ッス!!
さぁ、早く和泉先輩!!
今なら誰もいないですし、その口で俺の啣えて下さい!!

『なんで?!!(泣)』

「和泉先輩の口エロいんですもん!」

『そんな…
ギャアァアァーー!!なんでチャック下ろしてるの?!!






嘘でしょ…
誰か嘘って言ってよ!


さっきまでの赤也は何処?!




それより私危なくない!?
強制フェ○されそうなんですけど!!(泣)






「善は急げ…スよ?(ニコ)」

善なんてないし!!


いやぁーー!!!!(T□T)』

「あ!和泉先輩!!」






そして私は死ぬもの狂いで赤也の腕から逃げ出し、脱兎のごとく逃げ出した。


もうアイツのことなんか赤也なんて呼ぶか!
今度からアイツの名前は…






『変態3号じゃあぁあぁーーーー!!!!』









狐の嫁入り
(もう委員会な行きたくないよ!)






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あきゅろす。
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