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02




『…………』

「…………」

『……………………』

「……………………」






さっきからこの状況がエンドレス…‥


だ、だって!
いきなり全裸で現れて…
この状況をどう対処すれと!?




裸姿の男の子をガン見するなど高度(?)な技は私には出来ないので、お互い背を向けあい沈黙しあっていた……‥






『………あ、あの』

「あ?」






……………こ、恐い!


返事があ゙?だよ!あ゙?
(渚にはそう聞こえたらしい)




髪の毛も赤色だったし…
もしかして…ヤクザ!?






『…え、えっと
そ、そのままじゃ寒いと思うので服。
持ってきます、ね?』






私はそう一言言うなりすぐに、お兄ちゃんの部屋へ走りドアを閉め、そしてドアを閉めきった瞬間へにゃりとその場に座り込んだ…






『こ、恐かった…』






座り込んだ途端に安堵の溜め息が知らずに零れる…


そもそもあの男は一体誰だろう…?

いきなり現れて…
しかも裸だし

赤色の髪してるし…
しかも裸だし(関係ない)




そもそも猫は?!

どうしよう!
早く行かないとまだ震えてるかも!!






『早く着替え持って行かなくちゃ!!』






えっと…!
シャツに…服はこれで良いか!!


下着は…




……………あれ?






『さっきの人…
下履いてたかな?』






裸っていっても、見たのは上半身だけだし…


履いて、たかな…?
いや、普通下は履いてるよね!じゃないと本当に変質者だし!!


でも、履いてなかったらのために一応持っていこうかな…




…………うん、そうしよう!






――ガチャ―






『あの…
着替え投げますんで着替えて下さい!!』






身体を見ないように男の人に服を投げ、私はダッシュでソファーの影に隠れた…




……のは良いけど。




猫ーー!!


早く猫を探さなくちゃ!
只でさえ弱ってるんだから!!






ゔー…


早く着替えてくれないかな〜…
じゃないと猫!






「……おい」

『……へ?!』

「着替えたけど…」

『…………あ』






色々パニクってたから気づかなかったけど…


この人……




凄い格好いい!!


いや、でもやっぱり可愛い系かな…?
目も大きくて、少し癖のある髪型もふわふわしてて気持ちよさそう…






『あ、うん…
良かった…!ぴ、ぴったりだったみたいだね?』

「あぁ…」

『………………』

「………………」






はい!会話終了!!
なんか話続かない…。
つか、この人すっごい不機嫌そうな顔してるんですけど…


………なんで?






『えーと…あ、そうだ!』

「…?」

『小さな猫見なかった?』

「猫…?」

『う、うん…
朱色の毛の子猫…‥
さっき雨でびしょ濡れだったから拾ってきたんだけど…
多分、まだ寒がってると思うんだ!
だから急いで看病しなくちゃって思って…』

「………見た」

『本当!?
あ、あの…
その猫は何処に居るか分かりますか?』






つか何で私敬語なんだろう…
此処は私の家で、この人は侵入者なはずなのに…


悲しい性分だな…‥






「お前さ…」

『え…?』

「その猫…どうするつもりなんだよ?」






え…?
急になに言ってるのこの人?






『どうって…?』

「捨てるのか?」

『はい?』

「だから…
元気になったらその猫捨てるのかよ?」






………………


あ!そう言う意味ね!!






『捨てないよ?』

「本当かよ?」

『本当…だよ?』






だって…






『あんな小さな猫…
独りぼっちにしたくないよ』

「………………」

『それに私には拾った責任があるんだもん…
ただ寒そうだから拾ってきたわけじゃないよ…』






私がそう言うと、不機嫌だった男の人の顔は次第に明るくなっていき…
“そっか…”と小さな声で呟いた…。






『え…?』

「……お前みたいな奴が居たんだな」

『???』

「決めたぜ!
やっぱり俺はお前を飼い主にする!!」

『何が…?』






いきなりなに言ってるんだこの人は…


飼い主?

あの子猫の?


と言うか、なんでこの人に決められなければならないんだ?






「お前の名前は?」

『え、滝島渚だけど…?』

「渚だな!
これからシクヨロ渚!!」






いきなり呼び捨て?!
だから何なんの!この人!!






『…あの』

「あ?
あぁ、俺のことはブン太って呼べよな!」






あぁ…ブン太って言うんですか。
あれ?どっかで聞いたような…


あ、最初に名前言ってたからか…




じゃなくて






『あの、ブン太…子猫は何処?』

「んぁ?
居るじゃん!此処に」

『…………何処?』

「だーかーらー!!
此処だっての!」

『…………』






此処と言いながらブン太は自分を指さす…




…………自分?






『は…?』

「俺がさっきの猫!
まぁ、よろしくなご主人!!」

『はぁあぁあぁー!!?』











素敵な飼い主の見つけ方
(なに言ってるの?!)







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あきゅろす。
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