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新学期の始め方




『それじゃあブン太、行ってきます!』

「おう」






宿題が無い素晴らしい春休みも終わり、今日から学校。
珍しく人間姿のブン太に別れを告げ、私は学校に向かった。


通り道である桜並木を横目に歩く。
思うことは……一つ。






『……ブン太、お昼ご飯大丈夫かな?』






ブン太と暮らして分かったこと。
それはブン太がかなりの大食いということ…


特に甘いものの食べる量が半端なく、見ているコッチが気持ち悪くなるほど…
そして、ブン太が来てから食費が3倍になったのは言うまででもないでしょう。


まぁ、一応お弁当とお金置いてきたし…大丈夫かな?
でもブン太って意外に律儀で私のお金あんまり使おうとしないし…


どうしよう…お弁当が足りなくて餓死しちゃったら(考えすぎ)






――…ガラ―






そんなこんなで考えていると学校に着き、私は教室の扉を開けた。


自分の席に着き、私の隣の人でもある友達に挨拶を交わす。






『おはよー跡部』

「ああ…ブス渚か」

アハハ!歯食いしばれ
じゃなくて…跡部はどんな春休み過ごしたの?』

「あーん?別に普通だ」

『例えば?』

「今回はヨーロッパ巡りだな」

『どこが普通ですか』






金持ちの考えは分からないねー
ヨーロッパなんて…と言うか外国すら行ったこと無いよ私。






『そういえば、あの人とは遊んだの?
跡部にぴったりな美人な彼女』

「別に会ってもいねぇよ」

『えー?!なんで!また別れたとか?』

「別れてもねぇよ
会う必要が無かっただけだ」

『そういうものなの?』






私だったら毎日でも会いたいけどなぁ…


せっかく美人な彼女なんだから大切にしてあげれば良いのに…
しかも跡部ときたら飽きたらすぐにポイッだし。
自己中も大概にしたほうが良いよ






「余計なお世話だ」

『へ?何が』

「お前、全部喋ってんだよ」

『……あらー』






失敗、失敗。






「お前は?」

『へ?』

「春休みは何してたんだよ?」

『んー…別に私も普……あ!
そういえば猫拾ったんだった!!』

「…………猫?」

『うん』






と言っても元は人間だけどね。






「……種類は?」

『え?しゅ、種類か…何だろ
多分、見たことないから雑種かな…?』






毛朱だし、ふわふわしてるし…
絶対いないよねあんな猫。
多分、雑種でもなかなか作れないよ


だけど、私はそんなブン太(猫の方)が好きだけどね。






「……お前、もしかして」

『え?な――ガラッ―

「HR始めるぞー」






私の跡部への問いかけは先生の入ってくるドアの音によってかき消された。
先生を見た後、再び跡部に目を落とすと何も無かったように先生の話を聞いている。






『(そこまで重要な話じゃないのかな?)』






こちらに話かける様子の無い跡部を見て、私も先生の話を聞くことにした。
私が先生を見ているときに、跡部がずっとこっちを見ていることも知らずに――






***






『やばっ!急がなきゃ!!
ばいばーい跡部!』






全ての授業を終え、跡部に別れも告げ私は教室を飛び出すように後にした。


理由は今日の4時半からのタイムセール!!
なんと、今日はお肉がとても安くなるのです!
これは買わなくては…!!




メラメラと燃えながら曲がり角を曲がる。
するとその角に人が居ることに気付かなかった私はその人に思いっきりぶつかってしまった…





『……痛たたた』

「大丈夫か?」

『あ、はい…なんと――』






目が丸くなる私。
漫画だったら、多分飛び出しているよ


だって…ぶつかった人が






「大丈夫か、渚?」






ニヤリと微笑む我がペットの…





『ぶ、ブン太…?』











新学期の始め方
(正解)
(……えぇえぇ?!!)







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