[携帯モード] [URL送信]
18




「大丈夫かい姫君?」

『(姫君…?)』






姫君って…誰?
あ!もしかして、周りにお姫様が居るとか!?




そして私は、きょろきょろと周りを見渡してみたが周りにはお姫様と呼べるような人は居なかった。
居るとしたらお姫様と言うよりお嬢ちゃんかおばあちゃんって感じかな?






「ふふふ、周りを見渡して一体何を探しているんだい?」

『……へ?』






も、もしかして…
姫君って言うのは…






『あ、あの…』

「ん?」

『ひ、姫君って言うのは…もしかして、私です、か?』

「……お前以外誰がいるんだい?」






そう言って青年は肩をすくめて苦笑した。




…………まじですか?






つる日々草
Act.18:レッドボロニア-レッドボロニア-






「それじゃあ姫君、送ってあげるよ
その様子だと一人で帰るのは大変そうだしね」

『え、あ…えっと…』






――ドクン、ドクン―






ど、どうしよう…
こんな気持ち、初めてかもしれない…
かなり鳥肌が立っている
血の気が引いていくって言うか、寒気がするって言うか…
“ドクン、ドクン”と言うより“毒ん、毒ん”だよ(ぇ)






『えっと…遠慮します
その、さっきは本当にありがとうございました
では!いっ!!!!』

「無理するなよ
あー…血が出てきてるね
この様子じゃ歩くのも無理かもね」

『ううー(泣)
だい、じょうぶで、す!』

「ふふ、随分気が強いね
だけどこういう時は男を頼りなよ」

『……へ?キャアァアァ!!!!』






急に体が軽くなったと思ったら、私はその青年の腕の中にいた
つまりお姫様だっこ






『へ!!お、重いですよ!!?』

「大丈夫だよ」

『で、でも…!!やっぱりおろして下さい!』

「ふふ、別に気にしなくても良かったんだけどね
ところでお前の邸はこっちで良いのかい?」






この人言うことはクサいけど、凄い優しいかも…
今私をおろしてくれた時も、足に負担をかけないように優しくおろしてくれたし…

そして、この笑った顔…
どこかで見たことがあるような気が…






『はい…

あ、あの…!』

「なんだい?」

『さっきは本当にありがとうございました…
危ないところを助けてもらって、しかも家まで送ってもらって…
な、何かお礼出来ることありますか?
私で良ければ何でもします!!』

「なんでも、ねぇ…」

『はい!
あ、でも私居候の身なので、出来ればお金のかからない方向で…』

「女の子にそんな事させないよ
そうだね…それじゃ、今度ちょっと付き合ってもらえるかい?」

『ちょっと、ですか…?』

「ああ、行きたい場所があるんだけど、やっぱり花があったほうが良いだろ?」

『花?』

「ああ、お前だよ」

『…………(ゾワァ!)』






やっぱりクサい
花って…!初めて言われたよ…
と言うか漫画の世界でしか聞いたことなかった






――ドドドドドドド―






『ん?何の音だ「雛!!」

『痛っ!!?這( ̄□ ̄;)』


「もう!心配したんだからね!!
邸に帰ったら雛居ないんだもん!
怪我もしてるし…
雛に何かあったら私、私…!」

『あ、ごめんね…』

「次私に心配かけさせたらトイレの中にもついて行くからね!」

『色んな意味で本当にごめんなさい』






だから私はソッチの趣味ありません!
あったとしても、それは流石に厳しいです






「おや?これはまた可愛い姫君だね」

「あ、あなたは…!!」

『望美ちゃん…知り合い?』

「雛!!本当に変なことされなかった!?」

『(無視?)え、うん…
ただ、変なおじさんから助けてもらっただけだよ?
寧ろ私が迷惑かけちゃっ「変な男に会ったの!!?」

『えっとー…』







ああ、こうなった望美ちゃんは私は止められない。
誰か…誰か、お願いしますツッコミを呼んで下さい






「よく見たら神子姫様みたいだね」

「そうですけど、何か?」

「いや、お目にかかれて光栄だと思ってね」

「あっそう」

『(望美ちゃん、冷たい( ̄∀ ̄;))
な、なんで望美ちゃんのこと知ってるんですか?』

「姫君が京に現れて以来ずっと見てきたからだよ
六波羅に身を潜めて誰にも邪魔されないよう姿をくらませて」

「ストーカーですか?
ほら!雛!!こんな奴無視して早く邸に帰ろう!」

『ちょ、望美ちゃん!
流石にストーカーは失礼だよ!!』

「すとーかー…?」

『あ、意味分かってないみたい』

「つまり、私のことを見張ってたんでしょ?
私が、源平の戦いにどんな影響を与えるか知るために」

「もちろん、それもあったけど――
姫君のことが気になって仕方なかったのもホントなんだけどな」

「けっ!やっぱりヒノエくんだね、その言い方」

『望美ちゃん、やっぱり知り合いなの?』

「へぇ、この名前を言い当てるとはね
予想外だったよ、神子姫様」

「まぁ、言い当てると言うか、初めから分かってたしね
それより、神子姫様ってちょっと癪に障るから、私のこと名前で呼んでくれない?望美でいいよ」

『(やっぱり無視だ(T∀T))』

「じゃあ、これからは名前で呼ばせてもらおうかな

それと――
まだお前の名前、聞いてなかったね?」

『え、あ!そう言えば!
私の名前は「雛!こんな奴に名乗らなくて良いよ!!」

『……望美ちゃん』

「ふーん、雛って言うんだ
花のように可憐な名だね」

「何でバレたの!?」






うーん…私が言うのもなんだけど、望美ちゃんってちょっと抜けてる所あるよね?
だけど、私は望美ちゃんのそう言う所大好きだけど…






「ありがとう!私も雛大好き!!」

『あ、あれ?( ̄∀ ̄;)』

「……なぁ、オレたちどこかで会わなかったか?
なんか、初めて会ったような気がしないぜ」

「ふふふ…そうだね
もしかしたらどこかで会ってたかもね…(黒笑)」

「だろう?思った通りだね
ひょっとして、オレたち運命の赤い糸で結ばれてるんじゃない?」

「それはないね(ニコッ)」

「つれないね、望美は
だけどオレの本命は雛だしね」

『へ?わ、私!?』

「ああ、実を言うとお前も初めて会ったような気がしないんだよな」

『え!?』






私はバリバリ初めての気がしますけど?!
え?!会ったことあったっけ?





「雛気をつけて!
新たなナンパだから!!」

『ああ、なる程!!』

「なんぱ?」

「ヒノエくんみたいな人のことだよ!」

「……よくは分からないけど残念、時間切れかな
守り役の登場みたいだね」

『へ?』






ヒノエくんの目線の先を見ると、走りながらこっちに来る朔と譲くんが目に映った。
あの二人の様子を見る限り望美ちゃんは急に居なくなったんだろうなぁ…






「望美!
こんなところにいたのね
心配したのよ、突然いなくなるから」

「あっ、ごめんみんな」

「本当に…無事でよかった
この界隈は物騒だとも聞きましたから」

「そうだね、ちょっと危なかったよ」

「ええっ!!」

「雛が、だけどね?」

「え…?
あ!櫻井先輩!!」

「雛!あなたも此処に居たのね!!
邸に帰っても雛の姿が無いから本当に心配したのよ?!」

『ご、ごめんなさい…』

「全く、ごめんじゃすまないこともあるのよ?
それに危なかったみたいだし…」

『う、うん…』






やっぱりみんなにも心配かけちゃったみたいだね…
私、この世界に来てから何回心配かけているんだろう…






『だ、だけどヒノエくんが助けてくれたんだ!』

「ヒノエ…くん?」

「助けたってほどのことはしてないよ」

「いや、ありがとう
君がいなければ、(相手の男が望美によって)どうなっていたかもしれない
礼を言わせて下さい」

「女の子を助けるのは男の義務だろ?」

「ちょっと、譲くん?
今変なこと思わなかった?」

「い、いえ!」

「うん、それにヒノエは天の朱雀」

「天の――朱雀…ってもしかして…」

「八葉だよ
離の八卦を持つ、天の朱雀」

「――やっぱりな」

「そうだったの
望美、あなたがさっき駆け出したのも八葉を見つけたからなのね」

「いや、雛の匂いがしたから」

『…………』






に、匂いですか?
望美ちゃんは嗅覚も凄いんだね…


ごめんなさい、今の私にはこの弁解が精一杯です






「神子と八葉は引き合うね」

『そう言う弁解もありだね』

「弁解?」

『あ、ううん!何でもないよ!!』

「あの…ヒノエくん
私に力を貸してくれないかな」

『(あ…)』






この望美ちゃんの目…
この前私にお願いしてくれた時と同じ。
凄く、凄く真剣な目…






「さぁて、どうしようか
気が向かないな…なんてね、嘘だよ
いいぜ、つきあってやるよ」

「ほんと!?ありがとう!」

「ふふっ、だけど一つお願いして良いかな?」

「なに?」

「雛と――ドスッ!―

「よかったですね、望美さん」

『あ、弁慶さん…』






と言うか今の音ってもしかして弁慶さん?!
かなり良い音したんですけど…
ヒノエくん、大丈夫かな?






「痛っ!なんだ…?

ん?あんたもいたのか
……まさか、あんたも八葉ってわけじゃねぇよな?」

「君には残念ながらそのまさかなんです」

『弁慶さんのお知り合いだったんですか?』

「はい、一応(ニコッ)」

「あーあ、あんたがいるってわかってりゃ引き受けなかったぜ」

「でしょうね
じゃあ、やめますか?」

「バカ言うなよ
姫君との約束を簡単に破るわけねぇだろ
――で、これからどこへ行くんだい?」

「そうね、とりあえず邸に帰りましょうか」

「そうですね
景時も大分心配してたみたいですし


…………ところで雛さん?

『は、はい…?』






あー、怒られる
後ろがだんだん暗くなるー
弁慶さんの腹も黒くなるー






「今朝、僕は雛さんに何て言いましたか?」

『ゔ…』

「言いましたか?」

『家を出てはいけないと言いました
本当に申し訳ありません』


「ふふふ、謝ればすむと思ってるんですか?」






ヤバい、ヤバい、ヤバい
お父さん、お母さん、お兄ちゃん…
雛は異国で先に旅立ちます
育ててくれてありがとうございました






「ホントあんたは鬼畜だな
誰だって失敗はするもんだろ?
女の子をそんな責めるんじゃねぇよ」

『ヒ、ヒノエ君…!!(ジーン)』

「心外ですね
僕は只、雛さんと普通の話をしてただけですよ」

『(普通?!)』

「ねぇ、雛さん?」

『はい!普通です!!
バリバリMAX普通です!
日常茶飯事な会話です!!』


「櫻井先輩…
混乱して英語と日本語がごちゃごちゃになってますよ…」






だ、だって!弁慶さん恐いんだもん!!!!
その“ねぇ、雛さん?”にどれくらい圧力かかってると思ってるんですか!?
譲君、一回受けてみたら分かるからこの恐怖






「そうですね…
それでは邸に帰ったら雛さんに更に恐怖を与えてあげましょうか?
景時と一緒に、ね…?(黒笑)

『( ̄□ ̄;;)?!』






景時さんも、ですか…
あはは、凄い恐怖が待ってそうですね






NEXT→あとがき

[次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!