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11




忘れるわけない…


あの青い髪、
あの容姿、
あの癖、






「さーて、やるか?」






つる日々草
Act.11:曼珠沙華-マンジュシャゲ-






2人が武器を構えた瞬間、あの男達は悲鳴をあげて去っていった。






「……たく、話にもなんねぇな」

『……将臣、君?』

「ん?」






私が呼んだら振り向いた人。
やっぱりそうだ、将臣君だ


そっと近寄ると、いつものような笑顔で微笑む。






「どうした雛?」

『…………あ』






髪も伸びだし、背も数段と高くなっている。
顔付きもどことなく大人っぽい…
だけどその声、その笑顔が本人だと物語る。






『…………部長ー!』

「グブッ!!」






そして私は透かさず将臣君の首目掛けて、自分の手のひらを平らにしてチョップした






「いてぇ!!何すんだよ!
つか部長じゃなくてブッチャーだっつの!

『う、うるさい!』

「!?」






ポロポロと零れ落ちる涙。
何度も手で拭ってもその涙は止まる気配は無かった。






『し、心配したんだよ…?』






みんなと別れ、何が何だか分からない所に来て…
私が出会った人はみんな優しかったけど、他のみんなは私みたいに優しい人に出会えたのか?



まだ会えていないかもしれない。
一人で路頭に迷ってるかもしれない。
会えたとしても悪い人かもしれない。


考えたら考えるだけ不安になる…






『……っ…ひく!ひく…』

「…………雛」






壊れ物を扱うかのような優しい将臣君の手。
その手が私をそっと引き寄せ、抱き締めた。






「……わりぃな、心配させて」

『……っ!…ひく』

「だけど、俺も心配したんだぜ?」

『……ま、さ臣君?』

「良かった…無事で」

『…………』






そっか…
将臣君も、同じだったんだね


僅かに震える手。
私はそっとその手に自分の手を重ねた






「……所で」

『「わあ!!」』






そ、そう言えばこの人も居たんだった!!
うーあー…
人前であんな事をしてしまった…(あんな事=ハグ)






「将臣殿、其方のお方は?」

「ああ、コイツはオレのクラスメートだ」

「くらす、めーと…?」

「んー…まぁ、仲間って言えば分かるか
とりあえず敵じゃねぇぜ?」

『あ!申し遅れました!!
櫻井雛です、よろしくお願いします!』

「そうでしたか
私は平重衡と申します
こちらこそよろしくお願いしますね雛さん」

『雛さんなんて…!
雛で良いですよ!!』

「気にすんな
コイツの性格上常にこうだから」

『そ、そうなの…?』






にこりと微笑む重衡さん。
確かに、この笑顔からすると呼び捨てなんて出来なさそうかも…


それにしても…綺麗な人。
女の私でも見とれちゃうくらい綺麗容姿と髪。
サラサラしていて、触れたくなっちゃう…






「どうかなさりましたか?」

『へ…?あ!ご、ごめんなさい!!』






つい触れちゃったよ!!


だって本当に綺麗なんだもん…
うー…
絶対私、変な人と思われたよ…






「そんなことありませんよ」

『え?』

「雛さんはけして変な方ではないです
そしてありがとうございます、髪のこと」

『へ?はい、ええ!?






今ちゃっかり心読まれましたか?






「ふふ…」






ああ…何故でしょう
先ほどまであんな綺麗な微笑みが黒く見えます。




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