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『それじゃ行ってくるね!』

「本当に大丈夫雛…?
やっぱり私か弁慶殿も一緒の方が…!」

『大丈夫!
何回も行ってるし、私だって子供じゃないんだから!!』

「そうよね…あなたももう大人よね」

『うん!行ってきまーす!!』






つる日々草
Act.10:夾竹桃-キョウチクトウ-






『本当に朔は心配性だなー…』






今日は朔に頼まれ市にお使い。


本当はもっと早く出掛けるつもりだったんだけど、朔が凄い心配するから出発するまで二時間も掛かっちゃったよ…。


それに弁慶さんに付いてきてもらったら面倒というか…嫌だ
あの私の苦行発言から体力作りが三倍…いや五倍になって、出来ればしばらく弁慶さんの顔を見たくないほどのトラウマになってしまった…


次の日とか体が全然動かないのに、更に体力作りを倍にするし…
多分、弁慶さんなりの優しさで私に厳しくしてくれているんだと思うけど…


厳しすぎだこの野郎!!(壊)




それプラス、朔の舞練習、九郎さんの太刀の練習、景時さんのセクハラ…。
現代にいるより倍疲れるんですけど…


それより、何故九郎さんまで…!
だけど“もし襲われた時のために”とか言ってたし、この太刀の練習は九郎さんなりの気遣いだと思うんだけど…


体力が保たない…


その事を九郎さんに言ったら“だから弁慶に体力をつけてもらっているんだろう?”って…
いや、確かにそうですけど、ね?


いくら体力作りしてもらっていると言っても毎日毎日こんなハードだと±0だよ!
寧ろマイナス!!






『はぁ…』

「どうしたんだいお嬢ちゃん?」

『おばさん…
セクハラを防ぐにはどうすれば良いですかね?

「は?」

『あ!な、なんでもありません!!
この油下さい!』

「あいよー!」

『(………ふぅ)』






そして朔に言われた買い物も済ませ、私は京邸に帰る事にした。
だけど、帰る足がかなり重い…
精神的面じゃなくて筋肉痛で…




下を向きながら筋肉痛の足を引きずり歩くと、いきなり目の前に複数の足が目に映った。
何だろうと思い顔を上げてみると、そこには明らかに悪そーなお兄さま達。


私はその人達を避けるように再び歩き出すと…






――グイッ!―






『キャッ!』






手を掴まれ、前を行くことを拒まされた。
しかも、柄にもなく可愛い声出しちゃったよ






「『キャッ!』だとよ!
可愛いねぇ〜お嬢ちゃん」

「足引きずって大丈夫かい?」

『あ、はい…大丈夫です。でわ!』






――グイッ!―






『にょへ!?』

「送ってやるよ!家はこっちかい?」

『あ、まぁ…
いや、別に大丈夫ですよ!!』

「良いから良いから!」






良くないよ!!


そして私はお兄さん達に強引に連れて行かれた。
逃げようにも筋肉痛で力が入らない…


しかも…






『あ、あの…
家そっちじゃないんですけど…』

「んぁ?ああ、大丈夫大丈夫!!
こっちの方が近いから!」

『はぁ…』






明らかに家と反対方向。
しかも、段々薄暗い方に…




……これってちょっとヤバいか、も?






『だ、大丈夫です!
やっぱり自分で帰ります!!』

「なんだいきなり!
暴れるな!諦めて俺たちにヤられろ!!」

『!?』






ヤるって…
どっちのヤるですか…?






「こんな若い娘…久しぶりだぜ」

「本当だよな?
俺の下の刀も張り切ってるみてぇだ」






そっちーーーー!!?
嫌だ!絶対嫌だぁーー!!!!

誰が初めてをこんなオヤジに渡すかーーーー!!!!
しかも、微妙な下ネタがなおさら嫌だ!!






『は、離して!!』

「うるせぇ!」

『な…!?んむーー!!?』






私が暴れ出すとその男達は私を蹴っ飛ばし、怯んだ私に手拭いのようなもので口を塞いだ。






『ふーむーふー!!』(はーなーせー!!)

「はははっ!なに言ってるか分かんねぇな!!」

『(`言´)』






でも本当にヤバいかも…


どうしよう…初めてがこの男だったら。






『(ゾワァ…!)ふはふへーーーー!!!!』(はなしてーーーー!!!!)






嫌だ!嫌だ!!
初めては大好きなあの人と…とか思い焦がれてたんだから!!






「ははは!いい加減諦…ギャア!!」

『ふ?』(へ?)






私を捕まえ、高笑いをしている男がいきなり目の前に倒れた。

倒れた男をよく見ると、肩から多量の血を流しているのが目に映った。






『は、はひ?!』(な、何?!)

「嫌がってる女を無理やり襲うのはねぇんじゃねぇの?」






え…






「何だお前は!!」

「大丈夫ですか?今解きますゆえ…」

『へ?あ、ありがとうございます…!』






口に縛られたものも解かれ、その解いた人も私の安身を確認すると私の前に立つ男の人の方へ援護に行く。


…驚いた。
私の目の前に写ったのは…






「さーて、ちょっくら暴れるか!」

「はい」






銀色の髪と…青色の髪の…




2人の青年。






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あきゅろす。
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