06
『九郎、さん…‥』
私のせいで気絶させてしまって…
迷惑をかけてしまって、すみません…
どうか…
どうか九郎さんの目が覚めますように…‥
そう願いながら私は目をあけた…
つる日々草
Act.6:通草-アケビ-
「……っ…何だ?」
『…………あ』
「………………」
『………………』
顔がめちゃくちゃ近い
『………ギャアァーーーー!!!!』
「な、何だこの女は!!」
か、顔が近すぎるよ!
あと少しでキスするどころだった!!
「べ、弁慶殿!
九郎殿が目を覚ましましたよ!!」
「本当ですね…
とりあえず九郎、傷を見せて下さい」
「あ、あぁ…」
「これは…」
『あ、どうしたんですか!?』
もしかしてタンコブ悪化したとか?!
「傷が…治ってますね」
『うぇ!?』
「タンコブですよ」
『うえぇ!!?』
マジで治ったの!?(←一番驚いている)
「九郎、頭痛みますか?」
「いや…寧ろ気分が良い」
「やっぱり…」
「あの、弁慶殿…?これは一体…」
「そうですね…
雛さん、今九郎に何をしましたか?」
『えっと…
昔お母さんが私が傷ついたときに治してくれたように傷ついた所に頭をのせて…
それで……』
カメラが…
『カメラの形が…あぁ!!』
「どうしたんですか?」
『カメラが玉になってる』
よく見れば私のカメラは桜色の一円玉ぐらいの大きさの玉になっていた…
な、なんで…?
せっかく沢山美形さんがいるから帰ったらお金儲けしようと思ってたのに!(完璧母の血をついでる)
「多分これは、癒やし…
治癒能力でしょうか?」
『え…?』
治癒能力?
そんなバナナ(古い)
「それでは試しに…」
そう言うと弁慶さんは自分の指を小刀でスパッと切った…
って?!
『べ、べべべべべべ弁慶さん?!
何をしてらっしゃるのですか!』
「試しに僕の指を雛さんに治してもらおうと思いましてね」
『試しにって…』
そんなの無理だよ!
だって私、今まで普通(?)の高校生だったんだし…!
治癒能力なんて…
あるわけ、ないよ…
「大丈夫ですよ…」
『……え?』
「雛さんが先程やったようにやればいいんですよ…」
さっきやったように…?
『……はい、じゃあやってみます』
右手にカメラだった玉を持ち…
左手で弁慶さんの血が流れている指に手をそっとかざした…
そして…
『(傷が治りますように…)』
と願うと…
周りがまた一瞬だけ明るくなった…。
『どう、ですかね…?』
自然と瞑ってしまった目を開け訊ねると…
「流石ですね…
傷あとひとつありませんよ」
『うそ!』
笑顔の弁慶さんと驚きを隠せない顔をした朔と九郎さん…
と私
『うそ!?本当に!』
なんか魔法使いになった気分!
だって普通じゃありえないし!!
「凄いわ雛!」
「確かに…これは凄いな」
『うん!私が一番びっくりして、る…』
あれ…
急に眠たく、なってきた…‥
「雛さん!?」
そして私は目を瞑り、
その場に倒れてしまった…‥
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