MAIN 57話あたり 「帰るぞ。」 魔魅流に声をかけ、散りばめていた言言と結界を解除させる。 しかしそこで異変に気付く。 たりない。 焦り。 結界に気が付き、さらにはそれを解除できるほどの妖怪がいる。 それを術者本人に悟らせないという術を持つ妖怪がいる。 「おいおい、ぬらりひょんの孫。とんでもねぇ妖怪を配下に持ってるみてぇじゃねぇか。」 「あ?」 本気で不思議そうな顔をしている様子で、他に敵がいたのかとさらに焦る。 物音のする方に意識を向け集中していると、いくつかの影がでてきた。 「斑は奴良組の下になんてついてないわ!」 「斑が俺たちの頭だ!」 「失礼。 ....結界を破ったのは俺です。」 敵意はありませんよ、という少年の身の丈はゆらとさして変わらないように見えた。 少年を合わせて計3人、全員仮面を被っており表情は伺えない。 「申し遅れました。 私は八重組の頭、斑と申します。 後ろのは狐の三好と灯。」 どうぞよろしく、などという言葉をぬけぬけと口にする目の前の妖に目を見張る。 気付かれないように言言を放つと、斑と名乗った妖怪にぶつかる直前に突然弾かれる。それと同時に見たことのない形の式神の紙が弾けた。 「お前、陰陽師か...!!」 「...さぁ、どうでしょう?」 ひとつ舌打ちをしてから足を進める。 「行くぞ魔魅流。」 「...妖怪はいいのか。」 「口出しするな。 人間の血に敬意を払うのはこれが最後だ。 それに....。」 妖怪ごときに畏れてしまった自分を腹立たしく感じてしまう。 「灰色の存在も、俺は認めんぞ。」 次へ [戻る] |