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―電話と訪問者―




母さんがイタリアに旅行に行ってから約1ヶ月が過ぎようとしたとき、突然電話がかかってきた。
非通知の電話番号、知らない女の人の声。


「もしもし、沢田様のお宅ですか?」

「あ、はい」

「私、沢田家光様の部下をしております、オレガノと申します。」

「はぁ。…父の部下がどうなさったんですか?
今、父は母とともにイタリアに旅行中のはずなんですけど。」

「誠に申し上げにくいのですが……沢田ご夫妻が、交通事故に巻き込まれてお亡くなりに・・・。」


父さんの部下・・・オレガノと名乗った女性は、淡々と嫌に落ち着いた声で喋っていた。


―――あぁ、この人は嘘をついている


「―――それで、葬式の方なんですが」

「あぁ、適当にそちらで済ませてくれて構いませんよ。」

「では、近日中に使いの者をだしますので、彼らの指示に従ってください。」

「・・・じゃあ、お願いします。」


プチッ


父さんの部下、オレガノ。

門外顧問“CEDEF”の一員。

他にはターメリック、バジル、殺され屋のモレッティ、アルコバレーノのラル・ミルチで編成されている。







オレガノと名乗った女性は『沢田家光様の部下をしております』と言った。

「しております」は現在進行形だ。
あの人は遠まわしに父さんは生きてると言っていたと考えていいだろう。
…もしくは無意識か。
まあ父さんが生きているなら母さんも生きているだろう。


(というか生きていなかったら父さんを殺す)


そんな矛盾したことを考えながらも、思考は止めない。
恐らく旅行中というところにつけこんで、事故という名目で殺そうとしたのかもしれない。

電話で本当のことを言わなかったのは盗聴を恐れて。
ということは、敵は父さんと母さんは死んだと思い込んでいる。





ボフッ


と音を立てながらベッドに座る。




「厄介だなぁ」

「何がだ?」

「・・・お前達が!」


バンッという乾いた音を響かせると同時に、俺はベランダでスニーカーを履き、屋根に飛び乗った。


「コロネロ!そっちいったぞ!」

「まかせとけ、コラ!」

「Σうわっ」


Σ捕まった?
この俺が!?


今の状態:後ろから羽交い絞め


どれだけもがいても、びくともしない。


「これで逃げられねぇな、コラ!」

「ちっ、梃子摺らせやがって。」

「・・・・・・」

「ん?いきなり大人しくなりやがったぜ、コ「せーの!」ブッ!」

「よしッ!」

「「Σテメェッ!!」」


 バッ


と勢いよく顔を上げ怒鳴りつけてやろうと思った人物は既にいなかった・・・。


「「なッ!?」」














(顎に頭突きって)
(結構痛いよね)


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あきゅろす。
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