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突然と意思
拓哉さんがその話を切り出したのは少し突然だった気がする。
小学校を卒業するかしないか辺りの時期だったことを曖昧にだが覚えている。
「僕の仕事の都合でね、海外に転勤することになったんだ。」
一瞬驚いた後にそうなんですか...と言葉にした。
ここを離れなければいけない。
付いて行くべきだ。
みんなに会えなくなる。
我儘を言ってはいけない。
大切な友人たちなのに。
困らせるべきではない。
続いて何と言っていいのか分からなくなって下を向いた途端、美希子さんに名前を呼ばれ、再度顔をあげると少し悲しそうだが笑顔の二人がいた。
「貴志くんは、離れたくないのね。」
顔に出してしまっていたのか、心情を悟られ申し訳ない気持ちになった。
すると拓哉さんが口を開いた。
「この家は使えなくなってしまうんだけどね、学校のある山があるだろ?あそこの麓に小さなものだけど家を持っているんだ。
中学校やスーパーはこの家からと比べると遠いし少し不便かもしれないけれど、自然が多くてとてもいい場所なんだが、どうだい?」
一人暮らしをしてみないかい?
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