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裏山ランデブー



久しぶりに裏山に顔だそうかな...なんて考えているあたり、自分は妖との関係を断ち切りたくは無いと思っているらしい。
裏山には子狐のあかり三好みよしが暮らしている。親の無い2人はずっと前から一緒にいるらしい。


「おーい!灯!三好!」
「夏目!!三好!夏目が来たわ!」
「夏目!久しぶり!」
「あぁ、2人とも久しぶり。元気だったか?」
「「うん!」」






少しの間、世間話のような事を話してから帰り支度を始めた。


「もう帰っちゃうの?」
「あぁ、日が落ちて来てしまったしな。美希子さんたちが心配してしまう。...すまないな。」
「そうか、ならしょうがないな。まあ、目的は果たしたしいいじゃないか灯!」

......目的?

まあ、そういう顔をしてしまっていたのだろう。俺の顔を見るなりニヤリと笑いながら後ろに回していた手を出してきた三好。手には、

「おまっ!友人帳!!」

パラパラとめくって行き、最期の2枚に新しく書かれた名前。それは妖の文字であったけれども確かに“灯”“三好”と書かれていた。

「これで僕たちも夏目の子分だ!」
「うん!やったね三好!」
「あぁ!」
「...バカだな、お前らは。」
「でもこれで僕たちも夏目に必要にされた時、呼び出してもらえるんだろ!?」
「楽しみでしょうがないわ!!」

可愛いのでつい許してしまいたくなる。が、

「まあ、呼び出すか呼び出さないかは俺の自由だからな。一生呼ばないかも知れないな。」
「え!?」
「酷いわ夏目!!」
「呼び出すのなんて勿論緊急事態の危ない時とかだ。お前たちは戦えないだろ?」
「た、戦えるよ!」
「い、今は修行中なんだから!!夏目にあっと言わせてやるんだからね!!」
「ほほう、それは楽しみだな。待ってるよ。
...じゃあ、またな。」
「「またね、夏目!!」」



2人と別れ、次のバスまで2時間余りあったので歩こうとした。しかし、歩いている途中で妖たちが騒がしいことに気付いた。何があったのか不審に思いながら空の向こうを見ていると、真上を妖が通るのが見えた。

(あれは...。)
おぼろ!!!」

俺が名前を叫ぶと声が聞こえたようで、ちらりとこちらを見た後にまっすぐにこちらにおりてきた。

「これはこれは夏目さま、ご無事でしたか!!」
「どういうことだ?皆騒がしいようだが・・・何かあったのか?」
「この先のトンネルを、奴良組のガゴゼという妖怪が壊してバスの子供たちを襲おうとしているらしいのです。
しかし、そのバスというのが普段夏目さまが乗っておられたバスだった故に、我等で夏目さまを救出しようと躍起になっていたのですが・・・朧は安心いたしました。」
「ありがとう、俺は大丈夫だよ。そのトンネルへ連れて行ってくれ。皆に無事を知らせたい。」
「お安い御用!!」



しばらく朧の背に乗り、トンネルに到着した。そこにはよく顔を知っている妖たちが騒がしげにトンネルをなんとかしようとしていた。

「みんな!!」
「・・・夏目さま!!」
「夏目さまだ!ご無事だったぞ!!」

夏目さま夏目さま、と中には涙を流す者も周りに群がってきた。数にして15人くらいだろうか。...よくここまで好かれたものだと、少し自分に呆れる。
さっきまで皆が群がっていたトンネルに目を向けると既に入り口が塞がっていた。

「...ガゴゼというやつの仕業か?」
「はい。」
「しかし、奴良組の命令での行動ではないようで...」
「何でも、三代目候補を潰そうとしているのだとか聞きましたぞ。」
「あぁ、名は何と言ったかな。確か、奴良...」
「奴良リクオ?」
「えぇ!そうです!奴良リクオ!」
「同じクラスなんだ。
今、大量の妖力がこっちに向かって来ている。多分奴良組の妖たちだ。そして、俺は出来る限り向こうに顔を見せたくない。分かるか?」
「了解いたしました。」
「では夏目さま私の背中どうぞ。」
「ありがとう、朧。
他の皆は瓦礫を退かせるのに力をいれてくれ。小さい妖は隙間から中に入って様子を見て来てくれ。決して人間を殺させるな!!
瓦礫処理を奴良組に不審に思われたら中に妖が巻き込まれたとでも言っておけ!!」
「「「了解いたしました!!」」」
「...面倒事を押し付けるようですまないな。」
「いえいえ、夏目さまとの関係が一層深まるようで我らとしては嬉しい限りです。夏目さまは安心して人間の元へお帰りください。」

ありがとう、と一言言うとそれを合図に朧が飛んだ。





妖気が上に固まっていたので低空を飛んでいるとやはりというべきか。妖が群れとなってトンネルを目指していた。先頭を見てみるとそこにいたのは奴良リクオではなかった。





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