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るふぃ。
第2ステージ。後編
「お前らも来いよ!」

コックが潜水艦からサニー号へ声をかける。
単にローにそのままくっついていただけか、
あるいはコック1人を他所の海賊船に乗せるのを心配してか、
珍しい食いもんを期待してか、
潜水艦に乗り込んだルフィを除いて、他のクルーはサニー号で待機をしていた。
何かあるとは思えないが、
絶対とは言い切れない落ち着かない時間の終わりに、
クルーはどこか安堵を含んで潜水艦へ移動する。
ウソップやチョッパーは初めての潜水艦に興味津々で辺りを見回し、
フランキーも船大工とて面白そうに艦内を観察していた。

食堂へ着くと、そこは宴会場だった。
コックの料理に大満足の様子で、騒ぎまくっている中、
おれに気付いたルフィが声をかけてくる。
「早く来いよ、ゾロ!
すんげェ〜うめェぞっ!!」
両手に肉を持ちながら、口いっぱいに頬張りるルフィ。
は、良いとして、
ちょっと待てェェ〜〜〜っ!!!
なんで当たり前の様に、ローの膝の上に座ってんだよ?!
「無かったんだ、椅子。」
おれの疑問を受けてのルフィの説明。
んなワケあるかァ〜〜〜っ!!!!

あのアホコック!
一体何をやっていやがる!
ヤブ医者のルフィに対するセクハラ三昧を許すコックに、
文句の1つ…いや、10や20を言おうとしたら、忙しく働いていて、
ソレどころではないらしい。
若い連中に手伝わせてはいるが、休む間もなく動いている。
ん?
随分と楽しそうじゃねェか??
ふと、コックの様子が違う事に気付く。
いつも以上に、機嫌が良い。
メシに関わる仕事をしている時は、大抵楽しそうだが、今はそれに輪をかけた状態だ。
それは当然ルフィにも伝わっていて、コックの機嫌の良さの分、ルフィも又嬉しそうだった。

「お〜い、
食い終わったヤツから麦わら屋ンとこの連中に席譲れ〜〜っ!!」
おれたちを見て、ローがクルーに席を開ける様に指示を出す。
最初からそうしやがれ!
ともあれ、コレでようやくルフィも解放される。
……かと思いきや、
余程居心地が良いのか、ちゃっかり座り続けるルフィ。
………ルフィ……。

コックが一通りクルーに食事を提供する。

「わぁ、美味し♪
初めて食べる味ね、
スパイスのせい?」
「んナミすわ〜〜んVv
嬉しいなぁ、コレは北の海ではポピュラーなメニューなんだ。
ローが食材とスパイスを提供してくれてね!」
ナミの感想にデレデレ鼻の下を伸ばしながら解説するコック。
なる程、遠く離れた新世界で、故郷のメシを作れて機嫌が良かったのか。
「そっかぁ、
じゃあまた作って貰うのは難しそうね。」
「食材ならたっぷりあるから、少し位なら持ってって構わねェぞ。
ああ、序でにスパイスも分けてやる。」
残念がるナミに、ローの気前良い提案。
「わぁ!有り難う!」
「マジでか?!サンキュー!!」
コックとナミの声がハモる。
「あぁでも、
貰ってばっかじゃ悪いし、交換にしよう。
こっちにも結構良い食材が揃ってんだ。
こいつがバカみたいに食った分も含めて、レシピと一緒に届けるよ。」
コツンとローの膝の上でデザートのパイに噛り付くルフィを小突きつつも、嬉しさを隠さないコックに、
頼む、の一言。
なんでこいつらこんなに友好的なんだ?

……面白くねェ、なんもかも。



腹一杯に北の海の料理を食ったあと、
おれたちはそのままローんトコの連中と騒いだ。
その間、フランキーとウソップがサニー号から食材と酒を運ぶ為にコックに駆り出されていたようだ。

だからなんで、
べったりなんだよ?
カードゲーム片手間に、べたべたと触られても、
ウソップやチョッパーと遊ぶのと変わらず笑っていやがるし。

始めのうちこそ、単にルフィが久方ぶりの再会を喜んで、
ヤツに戯れついているだけかと思っていたが、
どうやらそうではないらしい。
ローはおれと同じ意味でルフィに好意を寄せている。
自分と近い人間は、空気で判る。
そして、このテの感覚に鈍そうでいて鋭いルフィが気付かない訳がねェ。
ソレなのに、ローの過剰なスキンシップを好きにさせている。
どういうコトだ?


「マリモ屋。
そんなトコで睨んでるくらいなら、お前もゲームに参加したらどうだ?」
カードを片手に、
ローから挑発を含んだ誘いがかかる。
「そうだぞ、ゾロ。
見てるだけじゃ欲しいもんは手に入らねェぞ!」
続くルフィの言葉。

ゲーム?

……そういう、コトかよ!
ルフィがローにセクハラを許すのも、
コックの機嫌の良さも、
総てが、駆け引き。
一つの線で、繋がった。

「上等だ!!」

参戦。
ルフィを、コックにも、
ましてローなんぞにも渡すつもりは毛頭ねェ!
邪魔者は、同じ舞台で退けてやるっ!!



こうして、
ゲームの第2ステージは、
メンツの揃わないままに始まった。


終わる。
(2010・9・4)

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あきゅろす。
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