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七夕。(2010年7月)


拍手、有り難う御座いますっ!!
今月のお礼文はギン×サンジですっ♪

『七夕。』

「笹、あんがとな。
ウチのお子様トリオがすっげえ喜んでた。」

まずは土産の礼を言う。
渡された直後に目聡くおもちゃを見付けた年少組の襲撃にあって、ゆっくり感謝の気持ちを伝える隙がなかったのだ。

場所はキッチン。
ギンを交えて、全員での晩飯の後、
2人で呑むのが習慣になっていた。
「明日は七夕かぁ、別れ別れにさせられた恋人が年に一度だけ出逢うことを許されるなんてロマンチックだよな。」
ギン好みの酒と、客人用にちょっとだけ手の込んだ肴を用意して、向かいの席に着く。
「はははっ、サンジさんは意外とロマンチストだな。」
おれの感想に、柔らかに笑いながら返すギン。
他のヤツなら大爆笑もののセリフを言っても、ギンはありのままに受け止めてくれる。
「海賊なんて輩はみんなそうさ。
でなきゃこのご時世、好んで危険な海に出ようとは思わねェだろ。」
「違いない。」
ほろ酔い加減で笑い合う。
心地の良い空間についつい酒も進んでしまう。


「………でも、おれだったら、
年に一度しか逢えないなんてヤダなぁ。」
酒に外された箍が、余計な本音を喋らせる。
織姫と彦星の物語を、互いに違う旗の下に集い、簡単に逢えない自分たちに重ねてしまっていた。
もっと、ずっと一緒に居たいのに。
叶わない願い。
「そうなのかい?」
意外そうに問われる。
「んだよ?
てめェはおれに逢えなくても、なんとも思わねェのかよ?」
ソレが気に入らなくて、つい文句を言ってしまう。
おかしい。
おれはからみ酒ではなかった筈なんだが。
「四六時中一緒に居られたら、それも楽しいだろうけど、
サンジさんには、サンジさんの居場所がある。
おれは、こうして時々でも逢えるなら充分だ。」
離れている時間を肯定するギンが、やっぱり気に入らなくて、
むう!と睨み付ける。
クスリ、と、笑われてしまった。
にゃろう。
「それに、会えないのも悪くない。」
補足的に続くギンの言葉に、
なんでだよ?
と、視線で問う。
「会う度にどんどん綺麗になっていくサンジさんを見れる。」
「なっ!!////」
サラッと言われた爆弾発言に、言葉が詰まる。
き、聞かなきゃ良かった。
コレを酒の力を借りた口説き文句でもなんでもなく、素で言ってるんだから、タチが悪い。
「サンジさん?」
酒のせいではない頭痛を覚えていると、頭痛の元が心配そうひとの顔を覗き込んできた。
至近距離にあるその髭面をぎゅむっとつねる。
「いたたたっ、放してくれ、
サンジさん。」
「やなこった。」
頬をつねったまま、
反対の頬に一瞬のキス。
「さ、サンジさん??////」
対極の行動に、反応に困るギン。

よし、ちょっと気が晴れた。

そのまましばらく、戯れるように悪戯を仕掛ける。
困りながらも、笑うギン。
そうやってふざけていたら、
なんだか、1人で会えない時間を気にしているのが、バカらしくなってきた。

時々しか会えなくたって、
こんなに、繋がってる。

余計なコトを考え過ぎる。
どうやら、おれの悪い癖だったらしい。

大事なのは一緒に居られる時間の長さじゃないと、
ようやく気が付いた。


終わる。
(2010・7・18)



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