癒えぬ孤独 夜な夜な目が覚めた。 ボンヤリとするが、隣に誰かが居ることははっきりと分かった。 「誰だぁ!!」 すかさず立ち上がり、隣に居る奴の正体を見るべく毛布を剥ぎ取った。 するとそこには、名前が居た。 「…っゔぉ…。…!」 起こしてやろうと思った。大声を出せばすぐに起きるだろうと思ったが、すぐに声を引っ込めた。 名前の瞼が濡れているのに気が付いたから。 「…泣いて、」 いるのか? 本来ならば、人のベッドに潜り込んでいるだけで叩き起こしてやることろだった、が―思いとどまった。 シーツを引っ張って、強引だったかもしれねぇが濡れた頬を拭いてやった。 名前は、レヴィ雷撃隊の一員である男の婚約者だった。 紅一点である名前はヴァリアー内でも人気だったが、名前はその男だけを見ていた。 ヴァリアーに所属しているからには、恋愛にうつつを抜かしてはいけないと名前もその男も何食わぬ顔で任務をこなしていた。 しかし、何をどうとっても“ヴァリアー” 何時どのタイミングで暗殺される側に回るか分からない。 男は、名前との結婚式を約束したその日に 死んだ。 仕方ないんだ…。 ヴァリアーなんだし、殺されたって文句言えないよ…。 泣きじゃくりながらそう言った名前を、今でも覚えている。 それは俺に言っているんじゃなくて、自分に必死に言い聞かせているようにしか思えなかった。 その日から名前はポロリとも泣かなくなった。 が、夜名前の部屋の前を通ると泣き声が聞こえてきたのも確かだ。 コイツは、見えないところでずっと泣いていたんだな。 「……名前」 忘れろ、なんて言えなかった。 どれだけアイツのことが好きだったかを知っているからこそ。 俺にしろ、なんて口が裂けても言えなかった。 お前のことが好きだからこそ、それを言ってしまえばお前を傷つけることになると分かっているから。 癒えぬ孤独 [次へ#] |