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P.S.



『私留学するの』



その言葉通り、昔から何かと隣に居た奴が居なくなった。

別に生活に支障も出るわけでもなかった。
けど、


「恭さん、手紙が届いてます」

「誰から」

「ナマエさんからです」

「…」


僕は無言でそれを奪った。

なんてことない、ただ異国で奴が思い通りに行かないと愚痴でも書いてるんじゃないかと思った。




恭弥へ。


あんたに改まって手紙を書くなんて初めてだね。

今は携帯電話とか便利なもあるけど、どうせアンタは不良を締めるときにうっかり壊したりするでしょう。
アドレスしらないから草壁さん宛てに手紙を書いて、そしてこの手紙を恭弥に届けてもらおうと思ったの。

近々日本に帰ることとなりました。

忙しくなかったら迎えよろしく。

桜が散る頃には帰ると思うよ。
アンタは桜が嫌いだから、なんとなく咲いてる時期は避けちゃった。

それとも、もう桜嫌いは克服したのかな?

帰ったら、一回で良いから恭弥とお花見したいなー。




「…ナマエさん、なんて書いてあります?」

「どうでも良い事」




まぁ別に大した用事で手紙を書いたわけではないんだけどさ…

少し恭弥に会いたくなったなーと思って書いたの。

案外寂しい気持ちになりました。
恭弥は別に、私が居なくてもなんてことないでしょ。




「本当、何てことない事ばっかり書いてる」




じゃあそろそろ終わろうかな。

ではまた、日本で。


あ、そうだ。





P.S.



そう言えばアナタが好きです。







お題提供「蝶の籠」様

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あきゅろす。
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