小説
<バングラ>温度
二人で外に出掛ければギスギスして居心地が悪い。
店に入ってもお互い趣味が違うため欲しいものがあればどちらか待たせてしまう。
俺がこれにしようとノートを取れば
えー、これ趣味が悪いとグランに指摘されてムカッてくるし。
外で食べるにしても、グランがちびちびと食べて女々しく感に障る。
男なんだからガッツリ食えよって思う。
グランも俺の食い方にイラついていて、口から溢さないでよとか、くちゃくちゃ煩いとダメ出しされてせっかくの食事もストレスがたまる。
公園のベンチに座れば会話もない。
話上手ではないグランはいつも聞き役で一方的に話すのは俺。
話す分聞いてくれる方がありがたいが、俺が話さなければグランも黙る。
お前も何か話せよって言うと、ないって言って黙る。
沈黙が苦しい。
一緒に歩くのも目的地をただ歩いているだけ。
寒いね。うん。
会話終了。
でも家に居ると外で居るより嘘のように温度差が激しい。
やっと一人になり自分の私室でくつろいでいたら、扉が音を荒いで開けられた。
何だと扉の方に目を向ければグランが立っていて、そして俺の方に走ってきやがった。
「バアーン!!」
両手を広げグランがくっついてくる。
さっきまでそっけなかとた癖に、二人っきりになるとグランが急に甘えて来た。
こいつの理性が潰れた。
「はああ、お外寒かったねぇ〜。ああん、バーンのもちもちほっぺ気持ちいよおお。うにゃあ〜。」
「おい、頬擦りすんなよキモいな!!外ん時よそよそしかったくせに!!」
「ええー。外でもご奉仕欲しいの?」
「ばっ!!」
「照れちゃって可愛い〜。」
俺の肩にグランの顎が乗りかかり、俺の体を抱き枕のかわりにしがみつく。
グランの目を見ればとろけさせて眠たそうであくびもし出した。
おい待て。
このままお前が寝ればお前が起きるまでずーと抱き枕になれってか?
「寝るなら自分の部屋で寝ろよな。」
「バーン温かいもん。」
「俺が好きからだろう?」
あっ、何言ってんの俺!
顔が沸騰してしまった。
俺はグランのことが好き。
だけど確かめるように好きだろう?と聞くのは女々しい自分に吐き気を催す。
違う、確かめるようにグランに言ったんじゃない。
好きと言ってほしいんじゃない。
察したグランは目を潤ませて、ゆっくり綻びらせた。
「えっ、好きだと言って欲しいの?
ふふ、バーン好き。大好きだよ。
どう?」
「ばか…。からかうなよ。」
グランがさっきより一段と強く抱き締めて、こいつマジで照れてるなって直に伝わる。
ああ脳が蕩けて溺れそう。
外では俺がこいつを引っ張って話を盛り上げ
家ではこいつが好き勝手に俺をベタベタする。
外と家では主導権がバラバラ。
それはそれでありかもしれない。
グランが目を瞑ってこちらに唇を突き出したので、従って俺も目を瞑ってこいつにキスをした。
end
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