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いきなり、背後から落ち着いたテノール声が降ってきた。
振り返ると今年クラス委員長になった、東雲拓真。
「ちゃんと2年も入学式に参加するようにとプリントに書いたはずだが?」
仁王立ちで、冷ややかに言う東雲。眼鏡の奥に映る瞳は、吸い込まれそうで漆黒に染まっていた。
「…透矢、行くぞ」
「は?ちょっ、朋季っ?!」
一歩も動かない俺の腕を引っ張って立たせる。
俺は折角のサボりに機嫌を損ね、すれ違い際に東雲を睨んだ。
「………」
◇
「なぁ、本当に入学式なんて出るのか?」
「しょうがねえだろ?委員長の言うことは絶対なんだから。しかも俺らのクラスの」
東雲拓真。俺たちと同じクラスで、委員長をやっている。頭も良く、運動神経抜群な完璧野郎。
…………。
「チッ……」
「ほら、体育館行くぞ。…透矢?」
「俺は教室で寝る」
「はぁ!?お前正気かよっ!あいつにまた見つかったら……」
「放せっ!何でいちいち言うこと聞かなきゃならねぇんだ?俺たちには関係ないだろ」
「でもあいつはっ……」
肩に置かれた手を振りほどき、踵を返す。
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