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マイ・スイート・ホーム
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高校の入学式を明後日に控え、家で寛いでいた俺に知らされたのはとんでもない話だった。

「雅治、突然だが、父さん転勤が決まったんだ」
「……は?」
「長くなりそうだから、母さん達も付いていくことにしたの」
「……はぁ」
「それでな、お姉ちゃんはもう一人暮らししてるからいいとして、雅治、お前のことだ」
「学校変わるのは嫌でしょう?母さん達のお友達に織原さんて方がいて、子供さんが今年立海大に入学して一人暮らしをしていてね、話をしたら『じゃあ一緒に暮らせば?』って言ってくれたのよ」
「……ほう……って、は!?ちょっ…」

ちょっと待て!今『一緒に暮らす』とか聞こえたぜよ!?
返そうとした言葉を遮り、母親は続ける。

「何ならお姉ちゃんと一緒に暮らしてもいいけど」
「いや、それは勘弁じゃ!」
「でしょう?だからお願いしておいたから、今日中にだいたいの荷物纏めて、明日、行けるようにしておいてね」

いきなりすぎて驚いたが、この親達は楽観的だからもう諦めにも似た感情が湧き始めていた。

「でしょう?って…この家で一人暮らしはあかんのか?」
「ここは一人じゃ広すぎるだろ。それに人に貸すことに決まったから駄目なんだ」
「……なんで勝手に……」

唖然とする俺を置いて進む話はもう決定事項らしく、俺の反論はあったとしても聞いては貰えないようで。

「……分かったぜよ」

そう言って、荷物を纏めるために部屋へ行くしかなかった。

少ない荷物を纏めながら、溜め息が出るのを止めることは出来ず。

「……面倒じゃのう……」

どんな奴かは知らんが、他人と暮らすなんて。
正直、嫌じゃ。





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あきゅろす。
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