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マイ・スイート・ホーム
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入学式と部活の紹介、HRで今日は終わり。それでももう昼近い時間となっていた。
担任が出て行くと、教室が一気に騒がしくなる。

「んん〜〜!!腹減ったァ!早くメシ食って部活行こうぜぃ!」
「そうじゃのう」
「新メニュー入ったらしいし、学食楽しみだぜぃ!」
「あ、すまんが俺は弁当があるんじゃ」
「え、マジ?じゃあ後でな。あ、ジャッカルじゃん!おーい!」

丸井はジャッカルを見つけて走り去った。

大概、パンか学食の俺が弁当持ちってことに疑問を持たん丸井には呆れるが、食いもんが絡むとそういうことは気にならんようじゃのう。

こんないい日は外で食べるに限る。
俺の足は迷うことなく屋上へと向かった。

さすがに今日は誰もいないか。
人気のない屋上でフェンスを背に座り込み、鞄から弁当を取り出す。

「おー、美味そうじゃ」

綺麗に盛り付けられたその中身は、早く食べて欲しそうに主張している。
早速、卵焼きから口に運び、やっぱり桔梗さんは料理上手だと関心しつつ箸を進める。
冷めても美味しかった弁当は、ものの5分程で空になった。

「ごちそうさん」

そこに彼女がいるわけではないのに思わず出た言葉に、やはり苦笑する。
作ってくれた人の気持ちが感じられるからだろうか。

パックジュースを飲みながら、ぼんやりと空を見上げる。平和じゃのう、なんてらしくもないことを思ってみたり。

入学式当日とはいえ、今日も活動がある部は多いらしく、グラウンドから声が聞こえてくる。

ふと下を眺めれば、テニスコートに見知った人間を見つけ、そろそろ行くか、と立ち上がった。





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あきゅろす。
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