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She is queen.〜その女、最強につき〜
:10



「いくら蘭相手とは言え、負ければアレだ。絶対負けねぇぞ!!」
「当然!」
「誰が飲みますか、あんな物!」

宍戸が、Aチームの盛り合わせをちらっと見て、青ざめながら激を入れると、向日と日吉が続いて頷いた。

「それはこっちも同じだもんねっ!絶対飲まないからな!」

菊丸がべーっと舌を出して負けじと返す。
闘志がぶつかる両チームに、ホイッスルが鳴り響く。

「では、Cチームサーブ!」
「じゃあ、いくよ」

バシッ!

流石、いつもこのビーチでバレーをしている佐伯は、上手くコーナーを突いてサーブを放った。

「よっ!」
「ナイス岳人!」

向日がダイビングレシーブで繋ぐ!そして日吉が上げ、宍戸が高く跳んだ!氷帝トリオのコンビネーションはかなりいい。

「悪ぃな蘭!」
「させないのねー!」
「チッ!」

樹が拾い、ボールは蘭に渡った。
ニヤリと笑んだ蘭がボールを見据え叫ぶ。

「行け、樺地!!」
「ウス」
「「なにぃーー!!?」」

蘭からの素早いトス、そして樺地の巨体から放たれたボールは地面にめり込んだ。シュゥゥゥ…と煙が上がるのが見える。

「…わ、1―0…」
「よくやった、樺地」
「ウス」
「お姉ちゃん!樺地くん!すごーい!」

腰に手を宛て不敵に笑む蘭が、唖然とする宍戸達を見た。
他の者達も、まさかの事態に唖然とする。その中でも、跡部のそれは他の者の比ではない。
いつも跡部の後ろにつき従い、彼の命令には絶対服従のはずの樺地が、蘭の言葉に動いたのだ。

「蘭テメェ…!樺地に命令できんのは俺様だけだ!!」
「は?そんなこと誰が決めた?樺地、勝つのは誰だ?」
「勝つのは…Cチーム…です」
「!!!」

流石の樺地も女帝には逆らえないのか。
否、逆らう気は初めからないのだ。何故なら、樺地は跡部と同じくらいに蘭に信頼を寄せているのだから。

「そういう訳だ。今この時、樺地はCチームの人間であり、貴様の命令は無効となる」

わなわなと肩を震わせる跡部に蘭は淡々と投げた。
彼女が勝ちたい理由は自身の為だけではないが、それを知る者はいない。

結果、氷帝、青学、六角のベストコンビによるCチームはその後も点を重ね、2―7の圧勝で試合を終えたのであった。
そして。
Aチームの盛り合わせの横に、Dチームの盛り合わせが出来上がった。

「蘭…絶対アレを飲ませてやるからな」
「その台詞、そのまま返そう」
「大石、菊丸…俺は負けない」
「絶対負けないよん!」
「俺も負ける気はないからな」

両チーム共にギラギラと燃える闘志をぶつけて威嚇する。
蘭が、ふっと笑んで呟いた。

「さあ、油断せず行くぞ」
「「(ええー!!!)」」
「……」

僅かに手塚の眉が寄ったのを見て、蘭がクスリと微笑んだ。

いよいよ決勝戦、開始――。





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