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She is queen.〜その女、最強につき〜
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「あー、今日の昼飯も美味いわぁ」
「忍足、顔が激ダサだぜ」
「もうええねん。美味いからしゃあないねん」
「…開き直ったな、コイツ」

美味い美味いと連呼しながら昼食を食べる忍足にチラリと視線を送り、蘭は跡部を見て口を開いた。

「跡部、午後の練習はどうなっている」
「アーン?何だよいきなり」
「岩場の向こうに行ってみないか?」
「…昨日お前が行った所か?」
「そうだ。悪くないと思うが」
「……。ま、少し気分を変えるのもいいだろう」

少し考えて答えた跡部の言葉にふっと微笑み、蘭は食べ終えた食器を持っていった。

「何か企んどる…?」
「さぁな」

訝しげな忍足に、跡部もおかしいとは思ったが、敢えて気にしないようにした。



水着着用だと言われ、泳ぐのか?と不思議に思いつつも言われた通りにするあたり、彼らはもう蘭に逆らえないようだ。

ビーチに集まった彼らは、蘭、楓と共に岩場へと向かった。
当然、蘭も楓も水着を着ていて、羽織ったパーカーから伸びるすらりとした足に目線がチラチラ移ってしまうのは、年頃の男子ならば仕方ないだろう。
墓穴を掘るだけだと考え、互いに敢えて突っ込まず、大人しく蘭に着いていく。
少しして私有地の看板を越え、岩場の向こうへと出た。

「ここから先は一般のビーチだぜ?こんな所に何があるって……」

跡部達は、目の前にある光景に唖然とした。
それは、ビーチでバレーをしていた彼らもまた同じであった。

「六角と青学だと…!?」
「え、氷帝!?……それに、昨日の!?」
「……蘭?」
「あー、氷帝の生徒会長さんだー!」

佐伯の発した台詞に反応して、跡部は蘭を睨んだ。
全く気にせずに、蘭はひらりと岩場からビーチへと下りた。

「蘭!テメェ昨日から知ってやがったな!?」
「だったらどうした?」
「最初から言えばいいだろうが!」
「……」

跡部の抗議に対して、蘭は憐れみの表情を浮かべ言い放った。

「それではつまらんだろうが」
「!!」
「「(この人遊んでるー!!!)」」
「……テメェ…ッ!!」
「まぁそんなことはどうでもいい。六角と青学、よければこいつらの相手をしてやってくれないか?」

何とか言い返そうとする跡部を無視し、蘭は佐伯達に向き合った。しかし、佐伯は先程のやり取りで気になったことがあった。

「俺達は青学のみんなが構わないならいいんだけどさ、昨日から知ってたっていうのが引っ掛かるんだけど。俺達が名乗ったのって今朝だよね?」
「合宿先のことぐらい調べないでどうする」

佐伯の疑問にそう答えた蘭だが、それだけでは全く腑に落ちない。
撃沈している跡部に代わり、忍足が佐伯の肩をポンと叩いた。

「佐伯、うちの生徒会長はんは普通とちゃうんや。一般常識で考えたらあかん!」

至極真面目な顔で語る忍足であるが、少々失礼なことを言っていることに気付いているのだろうか?
当然、それを見逃す蘭ではなく、忍足の頭をガシリと掴んだ。目がキラリと光ったのは気のせいではないだろう。
六角メンバーも手塚以外の青学メンバーも、蘭をクールな美少女だと思っていただけに、思わず固まっていた。

「忍足…」
「す、すまん!今のはなんちゅうか、言葉のあやってやつや、な!せやから頭掴むんやめてぇな!めっちゃ痛いんやけど…!」
「ほう…言葉のあやか。良い言い訳だな」

次はない、という脅しのような怪しい笑みを見せ、蘭はパッと手を離した。
がくりと頭を抱えてうずくまる忍足を一瞥し、蘭は手塚に顔を向けた。

「国光、構わんか?」
「俺は構わないが……皆はどうだ?」
「いいんじゃない?楽しそうだし」
「かんげーかんげー!」
「フッ…良いデータが取れそうだ」
「うむ、感謝する」
「ていうか、君達も知り合い!?」
「前に試合で会ったんだよー」

驚く六角メンバーに、青学メンバーはにこやかに言った。
もう驚いてばかりいても仕方ないので、流されることにしようと気を取り直した佐伯が提案した。

「じゃあ、ビーチバレーの試合でもしようか」
「いいねー!んじゃあ罰ゲームは…」
「コレだな…」

どこから出したのか、乾が有り得ない色のドリンクを差し出した。
蘭は一瞬眉を寄せたが、楽しそうに微笑んだ。





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あきゅろす。
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