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She is queen.〜その女、最強につき〜
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それからしばらくして、バスは千葉にある跡部家の別荘に到着した。
海辺に建つ別荘の裏にはテニスコートが1面あり、別荘のテラスから直接砂浜に降りれるようになっている。
軽井沢の別荘と比べると遥かに小さいが、普通の一軒家から見ればかなり大きい。

「ここには家族と数人の使用人でしか来ねぇんだ。あそこの岩場までがプライベートビーチになってる」

荷物を下ろし運び込んだ後、お茶を飲みながら跡部が話した。

「相変わらずセレブやなぁ」

窓際にいた忍足が眩しい陽射しに目をしばたかせながら呟いた。

「楓、いつもの仕事の上に食事まで負担掛けるが頼む。蘭、お前も悪ぃな」
「………いや、構わん」

少し間を開け答えた蘭に、跡部は軽く片眉を上げた。

「…何だその間は」
「聞かん方がいいと思うが」
「気になるだろうが」
「いやなに、お前も一応部長なのだなと少しだけ関心しただけだ、少しだけな」
「少しを強調するんじゃねぇ!……たく、昼食後から練習を始める。それまでは自由だ」

跡部は舌打ちして腰を上げると、リビングを出て行った。
気まずさの漂うリビングで、蘭は何事もなかったかのように紅茶のカップを傾ける。
横に座っている楓がオロオロしているが、さほど気にしていないようだ。

「お姉ちゃんなんでいつもそうなの!?」

プウと頬を膨らませる楓を見て、蘭は空になったカップを置いた。

「あいつが勝手に絡んで来るだけだろう?それに(アレをからかうのは)面白いではないか」

さらりと言ってのける蘭を止められる人間はきっとこの世にはいないのだろうと、この時一同は悟ったのであった。

「それより、お前らも着替えて身体作りに行かなくていいのか?」
「…え?」
「跡部はランニングに出たんだろう?あいつ、プライドが高いからな。どうせ顔を出さずに出てったんじゃないか?今は一応自由時間だしな」

いつも近くにいる自分達よりも、跡部の事を理解しているのも蘭なのだということも。

意味ありげに見つめてくる蘭の視線は言わずもがな。
部長がトレーニングを始めているのに部員が遊んでいる訳にはいかない。
ここには遊びで来ている訳ではないことを改めて認識したのであった。

「こうしちゃいらんねぇ!」

バタバタと部屋へ向かう宍戸に続いて、他の者達もリビングを出て行った。

「さて、静かになったな。食事の支度を始めるか。楓、お前はいつもの仕事だけしていればいい。ドリンクとタオルの用意をしておいてやれ」
「お姉ちゃん…うん、食事の用意お願い!」

そして、動きやすいジャージに着替える為に楓もリビングを出て行った。
蘭は既に手荷物から出していたエプロンを付け、冷蔵庫の扉に手を掛けた。





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