She is queen.〜その女、最強につき〜
悩殺せよ!:1
悩殺せよ!
全国大会を控えたある日のこと。
毎年行く合宿の話の為、レギュラーと楓がミーティングルームに集まっていた。
「詳細は見りゃ分かると思うが、今年の合宿は海で行う」
「へぇ、海かぁ。ええやん」
「そうですね。砂浜で走るのは足腰の強化にもなります」
プリントを見ながら頷く一同に跡部が続ける。
「場所はうちの別荘なんだが…今回、うちの執事やシェフらはいねぇ」
「え、じゃあメシとかどうすんだよ?」
「まさか自分達で、とか?」
「あ、でも樺地、家庭科得意だよな」
「けど樺地だって練習しなきゃならないだろ」
「待て、まだ話は終わってねぇ」
跡部の言葉にそれぞれ言い合うが、それを遮りさらに続ける。
「食事その他は楓に任せる」
「あ、はい分かりました。……でもちょっと不安だな」
軽く眉を寄せる楓に跡部は微笑み、頭に手を遣った。
「お前なら大丈夫だ」
「先輩……はい、頑張ります」
「頼んだぞ」
ニコリと微笑んだ楓に頷いた時。
ノックと共にドアが開き、監督、榊が入ってきた。
「跡部、話は進んでいるか」
「はい監督」
「だが紀宝、一人では大変だろう?助っ人を頼んでおいた。入りなさい」
「え…助っ人?」
ポカンとする楓だったが、その表情は直ぐに笑顔に変わった。
榊が促し入ってきた女生徒を見て。
「お姉ちゃん!」
「蘭!?」
「では紀宝、頼んだぞ」
「はい」
「うむ。では私は失礼する。跡部、後はお前に任せる」
「…分かりました」
榊が去ったミーティングルーム内は、奇妙な空気が漂っていた。
「……」
黙り込むレギュラー。
「……。何か文句があるか?」
威圧感たっぷりの女帝サマ。
「お姉ちゃんが来てくれたらすごい助かるー!!」
天然発揮のマネージャー。
「なんでテメェが助っ人なんだよ!」
「榊先生に頼まれたからだ。楓一人では負担が大きいのと、私なら気兼ねもないとな」
確かに榊の選択は正しい。
仕事が出来て、跡部らに同行することに異を唱えられない者と言えば、蘭しかいないのだ。それに、料理の腕は周知の通り。
「監督の判断なら仕方ねぇ……頼むぜ」
「引き受けた仕事は全うする」
引き攣りながら言う跡部に、蘭は不敵に微笑んだ。
さて、どうなる合宿!?
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