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She is queen.〜その女、最強につき〜
7―今年もよろしく



「…どういうつもりだ」

蘭は不機嫌を隠さず跡部を睨むが、跡部は意に介さず外を眺める。

「乗りたいだけなら気にする必要ねぇだろ」
「無理矢理乗らされるのは気分が悪い」

不機嫌な表情のまま外を眺めた蘭は、少しして大きく溜め息を吐いた。

「ま、お前らを連れて来たのは私だがな」

そう言った蘭は、いい景色だな、と微笑み跡部を見た。

「…そうだな」

まともに見る蘭の笑顔は跡部の胸を少しだけ高鳴らせ、思わず口を開いていた。

「蘭…着物、似合うぜ。綺麗だ」

蘭にしては珍しく、ポカンとして跡部を見る。

「…世辞か?」
「俺様がお前にお世辞なんか言うかよ」
「確かにそうだな…」
「…何だよ」
「いや、お前からそういう言葉を聞くとは思わなかったが…ありがとう、素直に嬉しいぞ」

観覧車は一番上。
日の光を受けた蘭の笑顔が眩しくて、跡部は腰を上げた。
しかし、グラリと揺れたゴンドラにバランスを崩し――。

「……」
「……」
「退け」
「悪ぃ…」

覆い被さっていた体を離し座り直す跡部の頬はかすかに赤く染まっていたが、それに蘭が気付いたかは定かではない。
蘭は不機嫌MAXで跡部を睨む。

「場所を考えろ。動けばどうなるかくらい分からんか」
「だから謝っただろうが」
「貴様、それでよくテニス部部長が勤まるな」
「それとこれは関係ねぇだろ!」
「本当にお前は馬鹿だな」
「馬鹿じゃねえ!!」

自分の行動が恥ずかしいために声を荒げずにいられない跡部に対し、いつもと変わらず冷静な蘭。
勝敗は考えなくても分かる。

フゥと息を吐くと、蘭は跡部を制した。

「まぁ待て。新年早々やめておこう」
「吹っかけたのはお前だろ」
「ああ、そろそろ着くな」
「無視かよ」

今年も変わらず女帝は女帝だと自覚しつつ、視線を蘭に合わせる。

「おい蘭、明けましておめでとう…今年もよろしくな」

不敵な笑みで自分を見つめる跡部に、蘭も同じく不敵に笑んだ。

「…こちらこそ」

その時、観覧車は地上に到着した。





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