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She is queen.〜その女、最強につき〜
2―ダブルスペア



蘭と楓が一緒に歩いていると普段でも人目を引くのだが、今日はいつも以上であった。
それもそのはず、2人の着物姿のせいだ。

男性の見惚れる視線と女性の羨む視線を受け流しながら、2人は神社へと向かう。

神社に近付くにつれ、人の群れが増えていく。
そんな中に見知った人物を見つけた楓が声を上げた。

「ねぇお姉ちゃん、あれ、鳳くんじゃないかな?」

長身の鳳は成る程人波の中でも目立っていた。
違う意味でも目立っていたが。

「そのようだな…」
「あ、宍戸先輩もいる!鳳くーん、宍戸せんぱーい!」

よく通る声で楓が叫ぶと、2人は気付いて振り向き…固まった。
固まるというより、見惚れていた、が正しい表現だが。

「明けましておめでとうございますっ、宍戸先輩、鳳くん!」
「明けましておめでとう、楓ちゃん」
「おう、おめでとう」

楓からの挨拶を返し、宍戸と鳳は蘭を見た。
視線を受け、蘭はいつもの無表情で2人を見返した。

「何だ?」
「あ、いや…別に何でもねぇ…あ、明けましておめでとう…」
「あああの!明けましておめでとうございます!き、着物似合ってますねっ!…って、俺何言って…!」

思わず口を塞ぐ鳳に宍戸は「激ダサ」と呟いたが、2人は再び蘭に見惚れてしまった。

「ああ、明けましておめでとう」

そう言って微笑んだ蘭に。

「……」

ただし、それも一瞬のことだったが。

「さて、行くか」

そう言って歩き始めた蘭は、少しして振り向いた。

「おい、さっさとせんか」
「は?」
「え?」

声を掛けられ唖然とする宍戸と鳳に、蘭が訝しげに視線を遣る。

「参拝はまだなのだろう?行くぞ」
「あ、ああ…」
「は、はいっ!」

慌てて付いて来た2人にニッコリ笑って、楓は蘭の横に並んだ。

目立つ2人が4人になり、さらに目立っているのは言うまでもない。





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