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今日も変わらず地球は回る
友達



黄金週間――ゴールデンウィークと名付けられた、連休初日。

彩音は神奈川に程近い街の喫茶店で人を待っていた。
どうしても、神奈川に入ることが出来なかった。もし仁王に会ったら、どうすればいいのか分からないから。
まぁ、実際会うことはない。幸村からのメールで今日から2日間合宿だと知っているから。

カランと鳴ったドアベルに入口を見遣ると、彩音の待ち合わせ相手、海里達4人が入って来た。
海里が彩音を見つけると、一瞬瞳を潤ませて、次の瞬間怒った顔で彼女のいる席にやってきた。
そして、本当に小さくではあるが、ぺちん、と彩音の頬を叩いた。

「彩音の馬鹿っ!!なんで何にも言わないで…!!」
「…ごめん、海里」

真っ直ぐに海里を見て謝る彩音に、海里は何も言えず手を下ろした。取り敢えず座ろ、と雪奈が促し、4人が席に着く。飲み物を注文して店員が離れると、彩音が口を開いた。

「……皆には心配かけて、本当にごめんなさい」
「謝って貰いたいわけじゃない」
「海里」
「……家の事情と言うと言い訳になりそうだけど…」

彩音はこれまでのことを全て話した。
彼女達に話しておくことは考えたのだが、いつ、どんな形で仁王が気付くともしれない。彼はそういうことに聡いから。

「じゃあ、帰国してからはずっと辛かったでしょう?」
「話せなかったこともね」
「ごめん…」
「だから、謝って貰いたい訳じゃないの!アタシ達は彩音の友達じゃないの?彩音が辛い時に何も出来なかった…アタシはそれが悔しい。どうにもならない問題なのは分かったけど、それでも辛いって、悲しいって、言ってほしかった。泣きたい時に側にいてあげたかった」
「海里…」
「それ、なんか告白してるみたいだよ」
「そうだよ、アタシは彩音が大好きなの!」

怒っていなかったことよりも、自分を本当に心配してくれていたことが嬉しくて、彩音はいつの間にか泣いていた。
きっと先に話していても、彼女達は彩音を抱きしめて辛さを和らげてあげようとしただろう。

「ごめん…」
「だーかーらー!」
「うん、ありがとう海里、みんな」
「それでよーし!で、今日はもう時間ないの?アタシ彩音にいっぱい話したいことあるんだけど!」
「大丈夫だよ。今日は何もないから。私も、皆といっぱい話したい」
「もうっ、ホントに可愛すぎるわ」

紅葉が言って笑った。
それから5人で沢山話をして、気付けば日が落ちかけていた。
部活休みには時々会おう、と約束して、彩音達は別れたのだった。

彼女達の乗った電車が駅から離れていくのを見送り、彩音はありがとう、と声を掛けた。



(100123)

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あきゅろす。
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