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今日も変わらず地球は回る
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内部進学試験の結果が出た。
彩音はもちろん、仁王や幸村達テニス部のメンバーや、桜達も全員合格を決めていた。

「あーこれで後は卒業だけだーっ!」

両手を挙げて喜ぶ海里が、帰りに寄り道しようと提案した。
しかし、彩音は申し訳なさそうにそれを断った。

「ごめん…今日は久しぶりにテニス部に顔を出すことになってるの」
「えぇ〜!残念だなぁ…」
「次はちゃんと付き合うから!」
「仕方ないなぁ。次は絶対だよ!」

もう一度ごめんと手を合わせて、彩音は席を立った。

「うん、絶対!」
「彩音ー」
「今行く!」

彩音は桜達に別れを告げ教室を出た。
そこには先に出た仁王だけでなく、元レギュラーが勢揃いしていて、周りには沢山の女子が輪を描くように集まっていた。
全員が集まるのは久しぶりなせいか、視線は半端ではない。
彩音は苦笑しながら彼らに合流した。

「お待たせ」
「じゃあ行こうか」

ぞろぞろとテニスコートに向かう仁王達と共にいるというこの風景もまた久しぶりだ。

テニス部に入ったことは、彩音にとってとても大きなものを与えてくれた。
立ち止まって、ただ流され守られていた彼女を、前に歩ませた。
彩音の中で、仁王だけではなく、彼ら皆が大切な人達になっている。
高校に上がっても、目の前の風景は変わらないのだろうと、彩音は少し後ろから見つめて微笑んだ。

「なーに笑っちょるんじゃ」
「…変わらないなぁって」
「まー、いつものことじゃな」
「そうだね」

テニスコートに着くと、以前よりは減ったものの、それでも結構な数のギャラリーが取り囲んでいた。
元レギュラーが来る事も少なからず影響しているだろうが。

彩音が引退してからは、やはりマネージャーになる者は現れず、1年生がその任を請け負っている。

着替えてコートに入る幸村達に続き彩音もコートに入り、1年生に声を掛ける。

「今日は思いきり練習して」
「「ありがとうございます!!!」」

彩音はコートに散っていった1年生を眺めて、「やりますか!」とドリンク作りを始めたのであった。



練習が終わり、着替え終えた彩音が携帯電話を見ると、母親からメールが届いていた。
内容を確認しながら更衣室を出ると、幸村も携帯片手に彩音を見た。

「彩音、見た?」
「うん、見たよ」

二人のやり取りに眉を寄せる仁王を見て、幸村は苦笑しながら口を開いた。

「そんな顔するなよ。俺と彩音の家族とで食事会するんだってさ。彩音のマンションで待ってろってメールが来てたんだよ」
「ふーん、食事会ねぇ」
「いきなりだね。どこ行くのかなぁ」
「そうだね」

仁王は面白くなさそうに「ふーん」やら「ほー」やら適当な相槌を打ち、むくれている。
目にも分かる態度に彩音はクスッと小さく笑ってしまった。
いつでも飄々とした態度がウリ(かどうかは分からないが)の筈だった仁王にも、こういう可愛い面があることは元レギュラーの彼らには周知のことだ。

柳が「ペテンはコート上だけだな」と苦笑すれば、真田は「たるんどる」と睨み付ける。仁王は益々むくれて「あんまり怒ってばかりおるとハゲるぜよ」と呟いて、余計に真田を怒らせていた。

彩音は、そんなやり取りを微笑んで見ていて、それに気付いた仁王は気まずそうにピタリと争うのをやめたのだった。

「(敵わんのぅ)」
「ふふっ」

そんな二人を、幸村は目を細めて眺めていた。



(091207)

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