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今日も変わらず地球は回る
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マンションに帰って来た彩音は、直ぐに仁王にメールした。
すると数秒もせずに来た返信には『会いたい』と一言書かれていて、浮かぶ笑みを抑えることなく返信する。

「ふふっ…『私も会いたいよ』…と…わ!」

送信した直後、着信があり、苦笑しながらボタンを押すと、心地良い仁王の声が聞こえてきた。

『おかえり』
「ただいま」
『イタリアはどうじゃった?』
「楽しかったよ。あんまりゆっくりは出来なかったけどね」
『そうか。今は?こっちにおるんか?』
「うん。マンションだよ」
『今から行くぜよ』
「えっ!?……切れた…」

こちらの返事も聞かずに切れた携帯を見つめ、彩音はクスリと微笑んだ。
もちろん、駄目などと言う気はなかった。

少しして鳴ったインターホンに出て入口のロックを解除し、更に少しすると玄関のチャイムが鳴った。

「彩音!」

ドアを開けると同時に、彩音の視界には仁王の肩口が映り、きついくらいに抱きしめられていた。
安心する温かさと香りに包まれて、彩音は自分の腕を仁王の背中に回した。

「ただいま」
「会いたかったぜよ…」
「私も…」

自然と重なる唇。
たった数日、されど数日。少し離れていただけで、これほど求めたくなるものなのか。

「好きだよ、雅治」
「俺もじゃよ」

今はまだ『その時』ではない。
その日が来るまでは、この時間を大切にしようと彩音は思っている。

『今別れておけば傷は浅く済むんじゃないかい』

幹部に言われた言葉が過ぎる。
もう、今だろうが後だろうが、いつ別れても浅い傷になどならない。

罪を犯すことが分かっているからどんなに深い傷を負っても構わない。
一生消えない傷をこの身に刻んで。

「(あなたが私を忘れても、私があなたを忘れないように…)」

重なる身体を抱きしめて、溢れる熱情に身を任せた。



まだ夜も明けきらず、漸く空が白み始めてきた時間。
彩音は自分に掛かる重さにふと目を開けた。

「(そうだ、泊まったんだっけ…)」

ぎゅっと自分を抱きしめている腕は解ける様子はなく、動くことは出来ない。
身じろげば起こしてしまいそうなので、そのまま力を抜いた。

「(あったかい)」

夜明けまではまだ少し。
彩音は目を閉じて、再び眠りについた。



(091101)

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あきゅろす。
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