今日も変わらず地球は回る
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昼休み中にさっさと仕分けしたプレゼント(だったもの)を、放課後丸井くんと切原くんに渡し、私のマンションへと二人で帰った。
一緒にお祝いするために。
プレゼント……一応考えたんだけど、結局いいものが浮かばなくて……。
「ごめんね……ケーキなんてベタな物になっちゃって…」
夕飯を食べ終えてから出したケーキを見て、雅治は驚いていた。
「これ、作ったんか?」
「うん」
「売っとるんと変わらんぜよ」
美味そうじゃ、と嬉しそうに笑ってくれて、ホッとした。
あ、でもちゃんとプレゼントも買ったんだよ。
消耗品になるけど、テニス用品をね。
「よかよか、『物より思い出』じゃ」
どこかで聞いたことのあるような文句に二人でアハハと笑ってケーキを食べた。
何気なくつけているテレビの音がやけに大きく聞こえるのは、私たちに会話がないから。
もう外は真っ暗で、時間はもう20時を過ぎていた。
明日も学校があるし、雅治もそろそろ帰らなきゃならない。
でも、離れられない。
ぎゅうと抱きしめた腕を外すことが出来なくて…。
どうしたらいいのか、自分でも分からない。
「彩音…?」
「雅治…」
返した私の声は震えていた。
いつまでも抱き着いている私を不思議そうに思ったのか、少し体を離して覗き込んだ。
「なんで泣いとる?」
雅治の言葉通り、私の瞳からは涙が零れていた。
「分からない…私、今凄く幸せな気持ちなのよ?でも分からないの…」
満たされ過ぎている。
幸せ過ぎている。
だからかもしれない。
「ごめ…ごめん…」
「バカじゃのぅ。謝ることなかよ」
頬を零れた涙を拭った雅治は、その跡に唇を寄せた。
目尻にまだ残っていた涙を舐めて、しょっぱいと呟く。
それが少しおかしくて笑ってしまうと、優しく微笑んだ雅治の両手が私の頬を包んだ。
「好いとうよ彩音」
「ん…好きよ雅治…誕生日、おめでとう」
私は、雅治に出会えて、すごくすごく幸せです。
(090824)
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