今日も変わらず地球は回る 11 修学旅行最終日、午前中は全員で見学して、もう帰る新幹線の中。 行き同様、私の周りは賑やかだ。 生徒の半分以上は疲れてか寝てしまっているというのに……ホント。 「元気だなぁ、みんな」 苦笑を浮かべると、横の海里が「ん?どしたの?」と顔を向けた。 「元気だね」 「だって、家に帰るまでは修学旅行終わらないもん、ギリギリまで楽しまなきゃ」 「フフッ、海里らしい」 「ほらほら、次彩音だよ」 「うん、じゃあはいこれ、スキップ、で、ウノ!」 「え、ちょっとぉ!」 私の手元に残るカードを見て、海里が頬を膨らませた。 「さっきからアタシ、彩音にリバースかスキップしか出されてないんだけど!」 「うん、わざと」 「なんですってぇ!?」 「もー海里うるさい!次、彩音」 「あ、ラッキー!上がりー」 「えええ!?」 最後の一枚を置いて、やったーと手を挙げると、海里が恨めしそうに私を見た。 「彩音〜!」 「罰ゲームはアイス奢りだったよね〜」 ふふんと笑うと海里はがくりと肩を落とした。 最寄り駅に着く度に少しづつ生徒が減っていき、途中で海里や雪奈とも別れ、私の家の最寄り駅(つまり学校の最寄り駅)に到着した。 「彩音、バイバイ」 「バイバイ!」 「バイバイ、桜、紅葉」 皆に別れを告げて電車を降りる。改札口を出て、雅治に向き合った。雅治の家は、うちとは駅を挟んで反対だから。 荷物を持って行く、と言ったけど、雅治もきっと疲れてるだろうし、私はこの後用事もあるからと断った。 残念そうな顔がちょっと可愛と思ったのは秘密にしとこう。 「彩音、明後日学校でな」 「ん。明後日ね、雅治」 そして大きな荷物を担いで数分で着くマンションへと向かう。 この数日の出来事を思い出し、思わず顔が緩んだ。 「楽しかったなぁ」 明日は振り替えで学校が休みだから、今日は片付けたら東京の家に行くのだけど。 「少しゆっくりしてから行こう」 撮った写真のカードをフォトフレームに移す。 次々に流れる思い出を眺めながら、あったかい紅茶を啜った。 (090820) [*←][→#] [戻る] |