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今日も変わらず地球は回る




消灯時間ギリギリまで五人で話し込み、海里と二人になってからも喋り込んで、寝たのは0時を過ぎていたけれど目覚めはすごく爽快だった。
カーテンを開けると差し込む明るい光。
うん、いい天気!

「海里、そろそろ起きようよ。いい天気だよ〜」
「んー…もうちょっと…」

クスリと笑ってベッドの中で身じろぐ海里をぽんぽんと叩いて促すと、むくりと起き上がりぼんやりと私を見た。

「おはよう彩音ー」
「おはよう海里」

今日も楽しい1日になりますように!



今日の班行動の班分け、先生も雅治達の人気はよく分かっていて、テニス部元レギュラーに関しては特例となった。
私は桜達と班を組み、雅治達と一緒に行動するのだ。

駅前からバスに乗り、私たちは東山へと向かった。

「なるほどー、これが清水の舞台ってやつかぁ」
「すごい高いー!」
「景色がいいわね」

清水寺の本堂前の舞台から市内を眺める。
陽の光に屋根屋根が煌めいていた。
あれが京都駅とタワー、あの光ってるのが鴨川ね。

「いい眺めぜよ」
「そうだね」

釘を一本も使わずに組み上がっている舞台には、他校生や観光客が沢山いて賑やかだ。
遠くの景色から、横にいる雅治に視線を移す。ニコリと笑った雅治に、昨夜のキスを思い出して僅かに顔が火照って恥ずかしい。
そんな私に気付いた雅治が、すっと顔を近づけて。

「昨夜のキス、思い出したんか?」

なんて、意地悪い顔で囁いた。
当然私は何も言えるはずもなく、何だか悔しくてムッとして顔を逸らすと、頬をむにっと摘まれた。

「そんなに怒りなさんな」
「怒ってない…ていうか痛い…」
「ククッ」

いつもより少し意地悪な感じがするよ、雅治!

「はい、そこー。イチャつくのは結構だけど、そろそろ行くよー」
「あ…ごめん!」

精市くんの声で我に返ったけど、修学旅行中だったんだよね。
なんかいつものデート気分になっちゃってた…。

「バカップルってああいうのを言うんだろぃ」
「彼女のおらん丸井に言われとうないぜよー」
「う、うるせー!」
「丸井、お前が口で仁王に勝てると思うのか?」
「余計落ち込ませること言うなよ、柳!」
「うむ、たるんどるぞ、丸井!」
「こいつら…!」

やっぱりどこに行ってもテニス部はテニス部で。
桜達も呆れながらコントのようなやり取りを見ていた。
雪奈が声を掛けなければずっと続いていたかもね。

「じゃれるのは構わないんだけど、かなり目立ってるわよ」

確かに、精市くん達は周りの女の子達の注目を集めていた。
普通に歩いているだけでも、すれ違う女の子達が振り返っていくから、騒いでいれば余計に目立つ。
そんなわけで、私達は漸く清水寺を後にした。

清水坂を下り三年坂へと入って、お店を覗きながら進んでいく。
可愛いかんざしや扇子を見つけて蓮華や薔子さんへのお土産にしようかな、と考えていた、その時。
近くにいた人と肩が当たってしまった。

「Mi scusi!(失礼!)」
「Non fa niente.(気にしないで下さい)……え、イタリア語?」

自然と返した言葉にふと振り返ると。

『…彩音…?』

私と同じ、エメラルドグリーンの瞳と視線が絡んだ。



(090728)

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