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今日も変わらず地球は回る




京都駅に着くと休む間もなくバスに乗り込み、最初の見学地へと向かう。
新幹線とは違い、移動時間は長くはないから直ぐに到着してバスを降りる。
そんな感じで二条城と金閣寺を見学して嵐山へとやって来た。
私たちは、渡月橋から嵯峨野へと観光客で賑わうお店を覗きつつ散策していた。
嵯峨野の竹林はいつ来ても気持ち良いなぁ、と思い隣を歩く雅治を見てみれば、偶然か必然か視線が絡んだ。

「ん?」
「いや、なーんもなか」

ニコリと笑って手を繋がれれば私は何も言えなくて、でも雅治は繋いだ手に少しだけ力を入れた。

「不思議じゃなぁ…と思って」
「え?」
「4月の頃はこんな風に彩音と手繋いで歩くなんて思わんかったから」
「…そうだね…私も、こんな風に楽しく過ごせるなんて思わなかった」

あの頃のままだったら、一人でこの竹林を歩いていたかもしれない。そう思うと、あまりにも寂しくて苦しくなる。
だけど一人じゃない。雅治や皆がいる。まだまだ感謝しても足りないよ。

「行くか」
「うん」

いつか思い出した時に笑顔になれるように、思いきり楽しまなきゃね。



嵐山からバスに乗り、宿泊するホテルに到着した。
部屋に入ると、同室の海里が荷物を置くなりベッドへとダイブした。

「あー疲れたー!!ベッド気持ちいい〜!」
「あ、ほんと、いいベッドだ」

私も荷物を置いてベッドに座ってみる。そのまま後ろに倒れると、適度なスプリングで身体が跳ねた。

「へへ」
「ふふっ」

海里と顔を合わせると笑みが浮かんで、理由もなく笑ったりして。
それから二人でそう広くもない部屋のユニットバスやクローゼットを覗いて、窓から外を眺めた。
窓からは駅が見えて、夕日に反射してキラキラしていた。

「人いっぱいだねぇ」
「東京も多いけど、やっぱり観光地だからね」

忙しなく行き交う人々を眺めてから、ホテル内は解禁の私服に着替えて、お茶を煎れて一息つく。

「彩音ってお茶煎れるの上手いね〜!すっごい美味しい!」
「ありがと。お茶煎れるのは得意なの」
「嫁に欲しいわぁ」
「あはは」
「よし、じゃあ隣にいこっか!」

そうして隣の桜達の部屋に押しかけた。



(090703)

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