今日も変わらず地球は回る
学び修めるとは名ばかりなり・1
※公式では立海の修旅は2年時のようですが、スルーします。
朝のHRで修学旅行に関するプリントが配られた。
テーマは『世界遺産を巡る』。今年の行き先は国内が京都で、海外が……。
「イタリア…」
ざわつく教室の空気をパンパンと手を叩き一蹴すると、担任は「行き先は金曜までに決めるように」という言葉でHRを締めた。
担任が教室を出ると、桜達が私のところへやって来た。
「彩音、やっぱ彩音はイタリア?」
聞かれると思った問いに、苦笑しながら首を振る。
「ううん、私は京都にする」
そう言うと、4人は少し驚いた様子で見てきた。
「イタリアじゃないの!?」
「だってイタリアには冬休みになったら行くし、今更だから」
理由を言えば、4人は成る程と納得したけれど、海里と紅葉が少し悩んでいる様子だった。
「イタリア行きたかったら行ってきていいよ?」
「ええー…でもそしたら彩音と思い出作れないよー!」
「そうだよ!……でもイタリアかぁー!」
悩むー!と唸る2人には申し訳ないけど、私は京都に決めている。
ごめんね、と謝っていると、「彩音」と声を掛けられた。
「彩音はどっちにするん?」
「京都だよ」
「そうか、じゃあ俺も京都にするぜよ」
聞かれて答えると、あっさりそう言って雅治は廊下に出て行った。
即決した雅治に桜達も感心している。
「あー…ごちそうさま」
「ホント、ラブラブねー」
「アタシの彩音ー」
「海里、まだ言ってるの?」
4人に苦笑で返し、確かに雅治は潔いなぁと思いながら授業の準備をしようとすると、精市くんがやって来た。
クラスの女の子達からハートが溢れ出てる感じがするよ。さすが…と言うべき?
「彩音、もしかして京都?」
何に対する話かも言わず問われたけれど、精市くんとはいつもこんな感じだから気にしない。しかも初めから分かっていたような質問だね。
「うん、京都」
「分かった、ありがと」
休み時間もあまりないし短く答えると、精市くんは直ぐに教室を出て行った。
そのやり取りを見ていた紅葉がポツリと呟いた。
「女子には究極の選択ね」
「そうね。テニス部元レギュラーかイタリアか…」
「え」
……まさか、皆私の選択に合わせて京都に行くつもりなんだろうか。
雪奈の台詞はそれを連想させる。
――予感的中でした。
(090423)
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