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1 #02
 そういえば、奏音は桜が好きだったなぁ。春になるとよくムリヤリ連れて来られたっけ。そして、二人でずっと桜を眺め──────、
 いつからだろう、そこには桜を見上げる少女が居た。桜と同様、暗闇に白く浮かび上がる様に、透き通る様な少女が。
 いつの間に…。僕はその出来事の非常識さを忘れて透き通る様な少女に魅入ってしまった。
 どれくらいそうしていただろう。僕に気付いたのか、少女は不意にこちらの方へ振り返り、僕と目が合うと、にっこりと微笑んだ。そして、戸惑う僕に少女は無邪気な笑みを浮かべながらゆっくりと近付いて来た。
 「お兄ちゃんのお名前は?」
─────聞こえない筈の声、が聞こえた………気がした?そう、僕は耳が聞こえない。少女の声なんて聞こえる筈が────、
 少女は暫く彼を不思議そうに見ていたが、やがて、さっきと同じ言葉をもう一度繰り返した。


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あきゅろす。
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