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3 #04
『お兄ちゃん、お昼も来てくれたでしょ?』
『ぇ?なんでそれを……?』
『見てたから。』
カノンは少し照れたように笑う。
『ぇ、でも何処から?あの時、カノンは居なかったじゃないか。』
『そ、それは…』
 何か言いにくいことでもあるのだろうか?カノンは少し困った顔で黙ってしまった。暫くの間沈黙が流れ、やがて、
『お昼はお外に出られないから…』
と言う答えが返ってきた。もう少し詳しく聞きたかったが、とても小さな声でそう言ったカノンの哀しげな様子を見ていると、それ以上は聞けなかった。
『そう、か…。』
僕はどう答えたらいいか分からず、そう言うことしかできなかった。再び沈黙が訪れる。重い沈黙。どれ程経ったときだっただろうか、カノンが思い出したようにポツリと言った。
『お兄ちゃん、また明日も来てくれる?』
『ぇ……?』
『私、今日はもう帰らなくちゃ。』
そんな、悲しい顔して俯いているカノンを前にしてイヤとは言えないだろう。
『……わかった。明日も来るよ。』
『ホントに?』
『あぁ。』
カノンの表情が一気に笑顔に変わる。
『じゃあ、明日も待ってるから!』
『あぁ。』
『ふふ。それじゃあ…またね、お兄ちゃん!』
輝かんばかりの笑顔を見せ、少女は手を振り走り出す。と、その時、急に突風が吹いた。信志は思わず目を瞑る。すぐに風は止み、信志が再び目を開けたとき、そこに少女の姿はなかった。そこにあるのは、突風によってはらはらと儚げに散りゆく桜の花だけだった。


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あきゅろす。
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