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3 #02
 気付くとそこはあの公園だった。桜は今日も変わらず冬の寒空に咲き誇っている。
 ここに来るつもりはなかったんだけどな…。
 そう思いながらも信志は昨日の少女を探す。しかし、少女の姿は見当たらない。
 いない、か。やっぱり昨日のは夢か。あの少女はきっと幻。よく考えれば、あんな時間に少女が居る訳がない。奏音を求めてカノンを視たのか?夢みる僕の無駄な足掻き、だな。奏音はもう居る訳ないのに。
 信志はフーッと息を吐き出すと、桜に背を向け、再び歩き出す。
 『どこ行くの?お兄ちゃん。せっかく来てくれたのに、もう帰っちゃうの?』
 僕は思わず振り返った。が、そこに少女は居ない。気の所為、か。そう思ったのも束の間、今度は楽しそうなクスクス笑いがした。少し視線を上げると、そこに、あの少女が居た。桜の樹の上で楽しそうに足をぶらぶらさせている。その姿は、まるで桜の精の様だった。


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