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吸血鬼シリーズ
1
「こら!!待たぬか!!」

「いやじゃー!!」

そんな言い争いをしながらバタバタと駆け回る二人の前に、俺様はゆらりと立ち塞がる

「旦那ぁぁぁ…。走り回るのも騒ぐのも禁止だって…言ったよねぇ…?」

眉間にシワを寄せピクピクと眉を動かし睨むと、流石に俺様の怒りが伝わったのか旦那二人組はピタリとかたまった

何故俺様がここまで怒っているのかと言えば…
ここは学生アパートであり、1人で住む専用なのだ
つまり、ここで騒いで一緒に暮らしている事なんかがバレたら、家賃の問題やらなんやらがとても面倒な事になってくる
お金の事でごたごたするのは好きじゃない

「しかし、此奴が某の髪をこんな女々しくしたのだ!!」

そう主張するのはおっきな旦那
自分の後ろの髪を握り締めこちらに見せてくる

その後ろの長い髪は、綺麗な三つ編みにされていた

そんなおっきな旦那の主張に対抗するのはちっちゃな旦那
ちっちゃな旦那は俺様の後ろに隠れるようにして、俺様の太ももにしがみつくと俺様を下から見上げ

「ちがうのだっ!!べんはただ…べんはゆきちゃんをかわいくしてあげようとしただけで…!!」

と目をうるうるさせる

…その可愛さに俺様が弱いのを知っているのだろうか…
俺様は思わずにやけそうになるのを堪え軽く咳払いすると、大きな旦那の方に向き直り、告げた

「旦那。旦那は大きいんだから、ちっちゃい子のいたずらくらい大目に見てあげなよ。まったく…子供じゃあるまいし…、髪型くらいで騒がないの!!」

と告げると、大きな旦那は

「し、しかし…」

と何か言おうとしたが、俺様はそれを遮り

「はいはい、言い訳はいいから。とにかく、俺様は忙しいから。騒ぐなら太陽が出ていようとなんだろうと追い出すからね!!」

と聞こうとはしなかった
だから、旦那がボソリと呟いた言葉は、俺様には聞こえなかった


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あきゅろす。
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