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吸血鬼シリーズ

―――――――――…


物心がついた頃から、父親はいなかった


母親は浮気ばかりを繰り返し、その度に俺様に
『お前なんかいらない』
『なんでお前なんかを産んだのかしら』
『お前なんか居なければ…』
なんて罵声を浴びせ、時には暴力を振るわれた

それでも、母親の機嫌を少しでも良くしておくため、俺様はいつも顔色を窺い、笑顔を絶やさなかった
それが、クセになっていた


そんな母親も、俺様が中学生の頃に死んだ


正直、心が軽くなった
もう怒られなくて済むと
もう痛めつけられずに済むと…



その後俺様は親戚に引き取られた
母親は、高額の保険でもかけていたのかは知らないが意外にも金を持っていたらしく、親戚は2つ返事で俺様を引き取ったらしい

ご飯はしっかりもらった
部屋も与えてくれた
学校にも行かせてもらった


だけど、親戚にとって俺様はいつまで経ってもただの『可哀想な子』だった


普通に考えれば、そこまでしてもらえるのだからいいじゃないかと思うかも知れない


でも、それは大きな間違いだ


何を言うにも、『そうだね』と答え
何をするにも、『あなたの好きにすればいい』と言われた

学校をサボったって
どこか違う場所で問題を起こしたって


何も言われないんだ


叱ってももらえない
金があれば、解決してしまうから…

実際の俺様の事なんて、見てももらえない

俺様はいつも独りだった

親戚の家族が俺様に与えてくれるのは、偽善な態度とお金だけ

そんな俺様にも、夢はあった
いつか、こんな…自分みたいな境遇になってしまった子供を救ってあげられるような
児童相談員になる事

そのために、大学に入った
そのために、耐え忍んだ
そのために、頑張って来た

大学に入ると同時に、ある程度のお金だけをもらって、親戚のうちを出た

それからも独りだったけれど、今までの中で、一番マシな独りだった


そこに、彼が現れたのだ




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あきゅろす。
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