吸血鬼シリーズ 3 それは、線香花火が落ちた瞬間の事 「こんばんはぁ〜」 そういきなり近くで声をかけられ、俺様は思わずびくりとした 振り返ってみると、そこには驚くほどに白く長い髪と肌に神父のような格好の綺麗な男が立っていた しかし、綺麗な見た目とは裏腹に、彼の纏う雰囲気は嫌に気味が悪かった 「あの…何かご用でしょうか?」 そう男に声をかけた瞬間、俺様の腕にドンッと小さな衝撃がある 見ると、そこには先ほどまで楽しそうに笑っていた小さな旦那が、更に縮こまり、俺様の腕にしがみつき、小刻みに震えていた 「……旦那…?」 その様子があまりにも異様だったため、俺様は腕にしがみついたままの旦那の背中を優しくさすってあげる それを見た男はクスクスと笑い 「おやおや。お邪魔をしてしまったようで申し訳ない…。ですが、私も仕事なもので」 なんて、訳の分からない事を言い、にやりと笑う その笑みを見た瞬間、背筋がぞくりとした 気味の悪い嫌な笑み 「あんた…何者?」 俺様はその男から少しでも旦那を離すように、旦那がしがみついている腕の方の足を引き、警戒しながらそう聞いた すると、男は笑顔を崩さないまま 「私ですか?私は光秀。吸血鬼狩り…所謂、ヴァンパイアハンターをさせて頂いています。……まぁ、私も吸血鬼なんですけど」 なんて事をサラッと言ってのけた 俺様の額に嫌な汗が流れる 「吸血鬼が吸血鬼を狩る……ってことは同族殺しじゃん」 「そういう事になりますねぇ。まぁ、同族ではあってもそこにいる彼らなどと同種とは考えて欲しくないですけどねぇ…」 そう言った瞬間、男の姿が消えた 「なっ…」 俺様は咄嗟に旦那を守ろうと覆い被さろうとしたのだが、男が旦那を俺様の腕から取り上げる方が早かった 「おやおや…。期待はずれですね…。王子様のパートナーがこんなに反応が悪いとは…」 男は軽々と旦那を片手に持ち、大きな溜め息をつき 「仕方ありませんね。王子様のパートナーならもう少し楽しめると思ったのですが…」 そう言って、男は旦那を持っている手とは反対の手で銀色の小さなナイフを取り出し、そのナイフを振り上げ、旦那の胸辺りに突き刺そうとした [*前へ][次へ#] [戻る] |