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吸血鬼シリーズ

「いただきまーす」

家事全般が得意な俺様は
男の独り暮らしにしては豪勢な料理を並べ、わざと少し大きな声で言った

その声に蝙蝠が少しはこちらが気になるのではないかと考えて…

しかし、蝙蝠はぴくりとも動かない

仕方なく、独り寂しく食事した

………あっ、いやいや!!
寂しくはないよ!!
いつも独りだし!!
独りは慣れてるし!!
何を考えてるんだ俺様はッ!!

と心の中で自分にツッコミを入れつつ
ちらりと蝙蝠の方を向くと
蝙蝠はやっぱり何の反応も示していなかった

まぁ…
血しか飲まないならしょうがないか…
と諦めつつも、

……………でも、何も食べなきゃ死んじゃうよな…
とどこか心配している俺様がいる

まったく…
俺様は甘いな…と思いつつも
自分の食事を終えてすぐ、冷蔵庫から昨日の残りのおやつを取り出して、蝙蝠のそばに置いた

「あの…さ、俺様の血はあげられないけど、何か食べなきゃ死んじゃうでしょ?これ、良かったら食べて?」

すると、やっと蝙蝠がぴくりと反応を示す
………が

「某は血しか食さぬと申しておりましょう!!放っておいて下されッ!!」

と頑なに断られてしまった

「いや…、でもさ?そんな調子で傷が治るまでって言うのは…」

「大丈夫でござる」

蝙蝠はきっぱり言い切る

「やっぱり何か食べた方が傷の治りも早いと…」

しかし、ここで引き下がってこの蝙蝠が死んでしまったら…と考え、俺様もそう簡単には引き下がらない
すると、痺れを切らしたのか
やっとこちらを振り向いた蝙蝠が

「良いから放っておいて…」

と声を張り上げた時だった

ぐぅー…

とどこからか腹の虫が鳴いたような音が…
……っていうか、明らかに腹の虫でしょ!!

「ほら、やっぱりお腹空いてるんでしょ?」

俺様は、その音に苦笑しながら持っている物を差し出すと

蝙蝠はぷいっと顔を背けた

「ち、違うでござる!!い、今のは某ではござらぬ」

あくまで空腹である事を否定する蝙蝠

俺様は、仕方なくそのおやつをひとつ取り
蝙蝠の口に無理矢理押し込んだ

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あきゅろす。
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