吸血鬼シリーズ 2 翌朝俺様が目を覚ますと、隣の小さな布団は空っぽで どこを探しても蝙蝠が居る気配はなかった 「おーい。みたらし団子だぞー?」 と、あいつの大好物をテーブルに置いても、飛びついてくるはずの蝙蝠の姿がそこに現れることはなかった 「…なんだよ…いきなり…」 昨日まで煩かった部屋が、途端に静けさを戻した たった数日の事だったはずなのに、なんと賑やかな日々だった事だろう 「まさか…」 そこで、初めて自分が昨日漏らした一言を思い出し、後悔した 寝ていると思ってつい呟いてしまった言葉 『いっそ、こいつが居なくなれば…』 言われたら酷く傷つく一言である事はわかっていたのに… 「お腹が空いたら帰ってくるかな…」 あんなに『いなければ…』と考えていたのに、いざ居なくなるとなんと寂しいことか 独りで生きる事には慣れていたはずなのに… こんな気分では学校へ行っても授業に身が入らないだろうと思い、その日は休んで近くの甘味屋に足を運んだ もし、あいつが帰って来たら 真っ先に謝って、美味しい団子を食べさせてやろう 団子なんかで許してもらえるかはわからないけど… 今、俺様が思いつく最善を尽くす!! そう思い、近くで一番美味しいと言われる甘味屋へ行き 少し値は張るが、美味しい団子を10本ほど購入した 後はあいつの帰りを待つだけ… しかし、その日の夜 俺様の部屋へ来たのは別の人物だった [*前へ][次へ#] [戻る] |