吸血鬼シリーズ 1 「ほら!!これ着て!!あと…これもね!!」 「うむぅ…。人間というのは面倒くさいものでござるなぁ…。ただでさえこの格好は疲れると言うのに…」 「文句言うと連れて行かないよ?」 「うぅぅ…。佐助は少しの血もわけてくれない癖に…。鬼でござる…」 ぶつぶつ文句を言いながら、俺様の買ってきた子供服を着る少年 もちろん、元は例の蝙蝠だ 数日前、政宗とか言う眼帯した蝙蝠が現れた時、こいつが変身出来る事を知った しかも、政宗はこの蝙蝠の事を弁とか呼んでたし… まぁ、本…人?が幸村だと言うなら幸村でいいか… なんて、こいつについてわからないことばかりだ でも、そんな思いも今日でおさらば…!! 今日はなんと、あの小十郎さんが俺様達を飯に誘ってくれたのだ!! 小十郎さんならきっと、毎日血を分けろとかわがまま言われたりとか…色々大変なこの気持ちをわかってくれるだろうし なにしろ、この謎の物体が何かを明らかにしてくれるはずなのだ!! この蝙蝠曰わく、自分は吸血鬼の王子だー!!とか言ってるけど 吸血鬼なんて非現実的なものがいる訳ない ……まぁ、蝙蝠が喋ったり人型になるのも充分非現実的なんだけどさ… とにかく!! 小十郎さんにこの物体の正体を明らかにしてもらうんだ!! と、期待に溢れていた ……………この時は……… 「急に悪かったな」 「いやいや!!むしろ、誘ってもらって嬉しいくらいです」 日が落ちた頃、俺様と小十郎さんは店の片隅で待ち合わせた 「本当は家で…と思っていたんだが、少々散らかしてしまってな…。こんな所ですまない…。今日は奢るからなんでも好きなものを食べてくれ。……君もな…」 そう言って、俺様と俺様の隣に座る茶色い髪の少年…幸村に小十郎さんがメニューを渡してくれた 「ありがとうございまする!!」 幸村は、礼儀正しく小十郎さんに礼をすると、メニューを捲り、ウキウキした様子でお目当てのものを探し始める 一方、小十郎の横に座る眼帯の少年は少し不機嫌そうだった 「あの…その子は…」 「政宗様だ」 「………やっぱり…?」 その少年はこの間会った青年だった だが、なぜかその姿は幼くなっていた その理由が酷く気になったが、触らぬ神に祟りなし 変なとばっちりでも受けたらたまったもんじゃない そう思い、聞くのはやめる事にした [次へ#] [戻る] |